エリートの象徴“東大法学部”はなぜ「砂漠」なのか

東大

2017/03/22 16:00

 東大新聞は「法学部の授業がつまらない」という声も報じている。特に2~3年生前半までは大講堂での一方通行的な講義が大半を占め、1年間でレジュメが600ページ近くになる授業も。ある男子学生は「受けるのが苦痛な授業もある」。さらに他学部のような長期間のゼミがなく、成績はほぼ一発勝負の試験で決まる。学内通称は「砂漠」だ。それでもかつては自動的に優秀な学生が集まってきたが、法学部自体の魅力が低下した今、学生は水を求めて他学部へ流れがちだ。結果、法学にも他の学問にもあまり興味を持たない「低体温」学生が法学部に吹きだまる──そんな構図が見えてくる。本当に法学部は「凋落」したのか。現役学生の声を拾った。

 関西の高校から文Iに進んだ1年生男子(19)は、将来なりたい進路が全く見えないと語る。

「就活もしたくないし、弁護士に絶対なりたいという気持ちにもなれない。小さいころ困っていたとき弁護士に助けてもらったみたいなエピソードが降ってこないかなと思うくらいです」

 法律は「社会紛争にパチンとソリューションが出てくる」イメージがあって好きだが、一方通行型の法学部の授業を面白がれる気はしない。

「将来像をしっかり持ってる人がうらやましいです」

●行きやすいから金融に

 同じく関西の高校出身の3年生男子(22)は現在就活中。入学当初は官僚に漠然とあこがれを感じていたが、インターンシップに参加した中央官庁でエレベーター内で寝る官僚を見て「ここまできつい仕事なのか」と萎えた。志望は日系の金融機関に絞っている。社会貢献のため、日本社会の潤滑油である大切なお金の流れに携わりたい──というのは就活用の建前だ。

「本音は、内定を取りやすいから。周りでも同じ理由で金融志望が多いですね」

 外資系金融機関は「しんどいし、未来の姿が安定していないから合わない」という。

「公のために働く気持ちはないわけではないですが、それはやりたい人がやればいいという感覚です」

 法学部進学を決めた2年生男子(19)は裁判官志望だ。

「小説『官僚たちの夏』(城山三郎)を読んで官僚にあこがれたのですが、実態を聞くと到底報われる仕事と思えない。といって弁護士は儲からないし検事は薄給。となると、裁判官が一番いいのかなと」

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