近年、特色入試が増えている。公立中高一貫校の適性検査型から、独自問題で思考力や記述力を測る学校が増加。前出の北部長は言う。

中学受験は、数年間塾に通って準備するスタイル一辺倒でなくなった。従来型と、短い期間だけ塾に通ったり通塾をせずに特色入試で勝負したりするタイプに二極化しています。また入試自体も、4科から2科4科選択や得意科目選択など、軽量化の方向へ進んでいます」

 英語入試は千葉の人気校、市川が導入して注目された。帰国子女の人数枠を広げる学校も増えており、入試のグローバル化が加速している。

 公立中高一貫校は市立横浜サイエンスフロンティア高校附属が開設し、8.2倍の競争率をあげた。同校は09年の高校開校当初から人気が高く、文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」にも指定されている。

 関西の注目は、男子校から共学になる高槻。関西の教育事情に詳しい株式会社ユーデック(大阪)企画本部長・植田実さんは言う。

「大阪府北部には女子の上位層がめざす共学校が少ない。高槻は大阪医科薬科大学の傘下にあり、理系志向の女子が受験しました。男女で合格最低点の差が30点開くなど、女子の優秀さが際立っています」

 特色入試を行っている学校は少ないなか、西大和学園が「21世紀型特色入試」を導入。学習・文化芸術・社会活動において秀でた成績を上げた者とされ、京都大学の特色入試と類似しており意識下にあることがうかがえる。

 受験生の動向を、北部長は次のように話す。

「最近の親はITスキルが高く、偏差値一辺倒でなく教育内容も子細に調べています。Web出願ができるようになり、締め切りギリギリに出願する家庭が増えてきました」

 多様化する入試。変化の激しい時代だからこそ、学校はしっかりと自分の目で見て選びたい。(ライター・柿崎明子)

AERA 2017年3月6日号