「ピル」=「コンドーム」だから「見せるな」という主張は、あまりに極端だが、ピルに対する理解も服用率も、日本は諸外国ほど進んでいない。2013年の国連人口部の統計では、日本のピルの服用率はわずか1%。フランスが41%、ドイツが37%、アメリカは16%、韓国は2%だ。産婦人科医の宋美玄(ソンミヒョン)さんは、こう分析する。

「日本で低用量ピルが承認されたのは、北朝鮮より遅い1999年。母親世代もピルを知らず、娘にも勧めません。メディアの取材でも、ピルの『効能』より『副作用』を尋ねられることが多く、適正に理解されていないと感じます。女医、特に産婦人科医の服用率は高いですし、番組収録で会うモデルなどもほとんどが服用しています」

 ピルは子宮内膜の増殖を抑えるため、婦人病の予防効果も期待できるという。特に日本は、女性が生涯に妊娠する回数が減っているため、生理回数が激増し、子宮内膜症など婦人病罹患者が増えたと言われている。

 他国ではドラッグストアで買えるが、日本では医師の処方が必要だ。入手のしにくさも服用率を下げているのでは?

「日本では理解が十分ではなく、婦人科にかかる機会を確保する意味でも、医師による処方が適正だと思います」(宋さん)

(編集部・澤志保)

AERA 2016年11月7日号