C:だから、わざと画面上の「戻るボタン」を画面下に表示されるバナー広告のすぐ上に小さくつけたり、工夫するんです。間違ってタップしてもらえるように、広告の「閉じるボタン」を極小にしたり(笑)。

A:そういったアプリ開発の場合は、開発費がゼロというケースも少なくありません。開発費がもらえない代わりに、そのアプリで得られた広告収入を、開発者とデザイナー、リリース会社などで山分けするかたちです。山分けといっても、少ないと年間数万円の収入にしかなりませんが(笑)。

──具体的にはどんなアプリ?

A:クリアするとAV女優の壁紙がもらえる神経衰弱のような簡単なアプリから、グラビア女優の写真集の電子書籍アプリなど、私はセクシー系のアプリを多く作ってきました(笑)。

B:そういうものはアップルの審査が厳しいですよね?

●開発費は最低3億円

A:何度もアップルからリジェクト(審査落ち)を食らいましたよ……。iPhone3Gが登場した直後の08年から09年頃は、当然、どんなアプリが売れるのか、そもそも審査基準もわかりません。だから公序良俗に反しないことに配慮して、セクシーなグラビア女優の写真アプリなどが量産されました。ところが、突然アップルが肌の露出が多すぎるとして“グラビア狩り”を行ったんです。少し太ももの露出が多いだけでもリジェクトされたものだから、当時はエキサイト翻訳を駆使しながらアップルの審査担当者とひたすら英文メールで「どれだけ露出を減らしたらOKなんだ!?」とやり合いました(笑)。ちなみに、審査担当者はサンフランシスコにいると聞いてます。日本語は通じません。

C:かといって、アンドロイド向けに際どいアプリを出すのもリスキー。グーグルは事前審査がない代わりに、アプリをリジェクトする際には、そのアプリを配信したアカウントを完全に凍結してしまいます。

A:一説によると、社名、担当者名、クレジットカード、電話番号からメールアドレス、さらにはIPアドレスやルーターまで、ありとあらゆるアカウントに紐付く情報をまとめてブラックリストに入れた上でBAN(停止)するので、アカウントを復帰させるのも大変らしく、実際に困ってた人を何人も見てきました。

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