UAE戦の前半、ゴール前のビッグチャンスを逃し、悔しがる香川。天を仰ぐシーンはもう見たくない (c)朝日新聞社
UAE戦の前半、ゴール前のビッグチャンスを逃し、悔しがる香川。天を仰ぐシーンはもう見たくない (c)朝日新聞社

 不安な船出となったサッカーW杯アジア最終予選。攻撃陣の中で唯一フル出場したエース香川が不発に終わるなど、先行きは暗い。日本代表は大丈夫か。

 サッカー日本代表は9月1日、2018年ロシアW杯に向けたアジア最終予選の初戦で、ホームでアラブ首長国連邦(UAE)にまさかの敗戦。6日の第2戦では敵地バンコクでタイに勝利したものの、アジア最終予選が現行方式になった1998年フランスW杯以降、過去5大会で初戦を落としたチームはすべて予選敗退という嫌なデータが残っているなか、最悪のスタートとなった。

●3度のチャンスをフイ

 初戦のUAE戦では、後半32分に途中出場のFW浅野拓磨のシュートが明らかにゴールだったにもかかわらず認められないなど主審の不可解な判定があったことは否めない。しかし、日本は開始11分に幸先よく先制し、その後も62.8%とボール支配率で圧倒しながら、逆に20分にFK、後半9分にPKとセットプレーから2失点。いずれも警戒していた相手のカウンターを起点にされるなど、敗れるべくして敗れた。

 続くタイ戦は敵地でスタジアムは5万を超える大観衆で埋まったが、友好的なムードでしびれるようなアウェー感に襲われることはなかった。加えて、バンコクは日中35度を超え、東南アジア特有の汗がにじみ出るような蒸し暑さに見舞われていたが、試合直前に雨が降り出したことで気温は約30度まで下がり、日本にとっては恵みの雨になったかに思われた。ただ、FIFAランキング49位の日本は、120位と格下のタイに2―0で勝利したものの、スコア以上に苦戦。1点リードで迎えた後半25分にはそれが相手の唯一のチャンスだったとはいえ、決定機を許している。GK西川周作の好守がなければ結果はどうなっていたかわからなかった。

 とりわけ、この2試合で失望を買ったのはMF本田圭佑とともにエースと位置づけられているMF香川真司だ。UAE戦の前半には相手GKが弾いたボールが目の前にこぼれてくるというまたとないビッグチャンスを迎えながら、そのボールをゴール右に外してしまうなど、最大ともいえる決定機を逃した。「(ゴールできなかったのは)課題だし、決めなければいけない」と本人も唇を噛んだが、もし、そこで香川が決めていればおそらく結果は違っていたはず。タイ戦でも、90分で少なくとも3度のチャンスをフイにするなど“モッテない”ぶりをアピールする格好となってしまった。

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