スマホで「ビル管理法」を調べてみると、そこには湿度の規定が。「40%以上70%以下」とある。湿度を見ると72%と規定を少し上回っていた。なるほど、蒸し暑いはずだ。

 おなかが空いてきたため、霞が関にある中央合同庁舎1号館に向かう。農林水産省の食堂があり、昼限定で一般にも開放されている。注文したのはまぐろ漬け丼(750円)。温湿度計も忘れずに料理を記念撮影。温度は26度だが、湿度はなんと72%! 腹ペコだったため、みそ汁をかき込んだら、汗が噴き出した。氷水を飲んでなんとか落ち着く。

●28度でも熱中症に

 人が多く出入りする交通機関はどうか。待ち合わせ場所として知られる東京駅地下の銀の鈴広場。人混みでごったがえしていたが、意外にも蒸し暑さはない。空調が利いているようで、気温27.6度に湿度60%。湿度の低さが際立っていた。仙台銘菓「萩の月」を持った旅行客も、「新幹線のホームは暑かったがここは涼しい」と微笑む。

 節電を促していた電力会社はどうか。翌日、連日の猛暑の中、東京電力本店に向かった。温度26.7度、湿度70%。そのほかの大手企業のエントランスと変わらず、まずまず涼しい。

 最後に、クールビズを推進する環境省に取材を申し込んだ。案内された場所は、楠木正成像の向かい側にある環境省の皇居外苑管理事務所。蝉時雨が聞こえ、皇居のお堀に面しており、風が涼しく感じる。

 だが、事務所に入ると一転、ビニールハウスの中にいるようにカラッと暑い。温度計を見るとなんと30.1度! だが、湿度は61%と低め。暑いが不快感はさほど感じない。案内してくれた職員は、「温度は基準を超えているが、湿度は低い。空気の循環と軽装も徹底している」と説明する。さすがは環境省。身を切る形でエコに徹していた。

“小旅行”を通じて分かったことは、室内温度だけでなく、湿度も大切だということだ。環境省が発行する「熱中症環境保健マニュアル」によると、室温が28度であっても湿度が80%を超えると、熱中症のリスクが高まるという。ちなみに、アエラ編集部は、26.4度、湿度63%でした。今回はあくまで建物の一部で測っただけなので、参考値としてもらえれば。あと、80キロオーバーの記者は人より暑く感じるかも。(ライター・河嶌太郎)

AERA 2016年8月1日号