「君は、地方出身だし、英語も苦手。オレには釣り合わないから、仕方がない」

 最後までサオリさんを唖然とさせたという。

●SNSに東大、京大…

 精神科医の水島広子さんは、

「自分自身の物差しを持てずに育ってしまった人が陥りがちな傾向です。特に、私立の幼稚園や小学校に通うことは、本人の実力ではなく、親に『与えられたもの』であって、自分で勝ち取ったものではないので、本当の意味での自信にはなりません。心のどこかに周囲への劣等感がある人ほど、学歴で自分を守るようになります。つまり、自分に自信がないのです」

 と指摘する。その結果、交際相手や友人も学歴で選ぶ傾向が強まるのだ。また、自分と関係が遠くても、名のある人と知り合いであることをアピールすることで、自分を守ろうとする人もいるという。

 横浜市内で働くノブユキさん(40)は、勤務先の後輩のミホさん(31)のSNSの投稿に違和感を覚えているという。

「私の父方は東大や京大、慶應出身者ばかり。最近、京大出身の祖父が遺した日記を発見!」

「夫の東大時代の同級生で、経済産業省で働くNくん一家とばったり会いました!」

「今日は元参院議員の娘である友人とランチをしました」

 写真とともにアップされる投稿に、ノブユキさんは、

「『いいね!』を押してほしいのですよね? でも押しません(笑)。彼女の投稿は人脈自慢。『そんなこと言われても』と思うことが多く、疲れてしまいます」

●大学のイメージに固執

 ミホさんは、政治家や医師の子どもたちが多く通うことで知られる都内の有名私立女子大出身。ノブユキさんには、ふつうのサラリーマン家庭で育ったミホさんが、必死で出身校のイメージを守ろうとしているように見えるという。その話を聞いて、

「出身大学にしばられる気持ちは、なんとなくわかります」

 と話すのは、東大を卒業した夫を持つ銀行員のミキさん(35)。昨年、娘を出産し、今春、育休から復帰した。

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