企業からの問い合わせも相次ぎ、担当の井田朋宏・企画情報部長の手帳はアポイントでびっしり。ある月は80社150人に会い、自席に座っている時間はほとんどなかったという。

 資金援助だけではない。新しい支援の形も見えてきた。

 パラリンピック選手の「採用」だ。14年8月から正式に、パラリンピック選手も日本オリンピック委員会(JOC)の就職支援制度「アスナビ」が利用できるようになり、これまでにこの制度を使って採用された100人のうち15人がパラ選手だ。「障害者雇用促進法」が民間企業に全従業員の2%以上の障がい者の雇用を義務づけていることも追い風になって、特に在京選手へのニーズが高い。就職希望の選手のほうが足りないくらいだという。

 井田さんは、多くの企業に関心を持ってもらえる現状に感謝しつつ、こう話す。

「この盛り上がりを2020年で終わらせてはいけない。障がい者スポーツの裾野を広げ、競技力を上げてファンを増やすことが重要だと思います」

(アエラ編集部)

AERA  2016年4月4日号より抜粋