鉄道ライターの土屋武之さんは言う。

「やはり魅力は、収蔵されている車両の多さではないかと思います。しかも、鉄道の黎明期の蒸気機関車から最近引退した車両までがそろっています」

 本館1階には時速300キロでの営業運転でギネス記録を樹立した新幹線「500系」、世界初の寝台特急電車「月光」としてデビューした「クハネ581形」、さらに北陸─関東を結ぶ特急「白山」などとして活躍した「クハ489形」の懐かしい雄姿も。本館に隣接するトワイライトプラザには、昨年春に引退したばかりの大阪─札幌駅間を結んだ豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」の機関車・客車が展示されていた。眺めるだけで時間が過ぎていく。

 この鉄博が国内の他の鉄博と一線を画するのが、大規模かつ丁寧な演出だ。

 SLは23両展示され、うち8両はいつでも動ける状態で動態保存されている。営業線とつながった引き込み線に現役車両や保守車両を展示する国内初の取り組みも行い、SLの解体検査などを行う専用の「検修庫」も設置、連絡デッキから整備の様子を間近に見学できる。

 心躍ったのは、本館1階奥のかさ上げ展示。さながらピットのような「トンネル」が設けられ、EF66形電気機関車とDD51形ディーゼル機関車の車体を底面から見ることができる。さいたま市の鉄道博物館にも車両の底面を見ることができる展示はあるが、車両の下を通り抜けできるのはここだけだそうだ。

(アエラ編集部)

AERA 2016年2月29日号より抜粋