ホテルや結婚式場も対応を急いでいる。電通ダイバーシティ・ラボの調査によれば、日本でLGBTに相当する人の割合は推定7.6%。当事者の消費活動だけでも経済規模は5.94兆円にのぼる。

 LGBTを支援している企業の商品を買いたいという人も多いという。コスメブランドのLUSHは、結婚の祝い金や休暇などの社員向け福利厚生制度を、今年1月から同性カップルにも適用している。全国の約140店舗で、性的マイノリティーが自分らしく暮らせる社会の実現を目指すキャンペーンを展開し、1万8千人の賛同者の声を集めて、東京、大阪、名古屋の各自治体に届ける活動を行った。こうした活動を通じて、社内でも働きやすくなったと、あるLGBTの社員は言う。

「結婚していなければ“そっち系じゃないの?”と言われることがストレスだった。自分を偽り、玄関のドアを開けるたびに仮の姿をまとわなくてはならなかったんです。それが心地よく出社できるようになりました」

 とはいえ、制度改革は緒に就いたばかり。

「まだまだ生活面での不便は多い。税金の配偶者控除はなく、パートナーが亡くなっても法定相続人になれない。裕子さんと結婚できればいいのですが……」

 そう話す東さんたちは現在、妊活中。LGBTの子育て支援もこれからの課題だ。

AERA 2015年12月21日号より抜粋