法的な責任はどこにあるのか。欠陥住宅全国ネット幹事長の吉岡和弘弁護士によれば、住民は売り主には「瑕疵(かし)担保責任」を、元請けや下請けには「不法行為責任」を追及できるという。

「構造部分の瑕疵担保責任は、竣工後10年以内であれば、誰が瑕疵を作出したかを問わず、売り主が負うと定められています。また三井住友建設と旭化成建材は、住民と直接の契約関係はありませんが、建物としての基本的安全性を損なう瑕疵があれば、不法行為として責任を問えます。不法行為責任は連帯債務なので、元請けか下請けかを問わず、回収が容易な者に請求して賠償させることができます」

 吉岡弁護士は「設計者の責任が見逃されている」とも語る。

「設計を担当した建築士は、現場の監理も義務付けられています。施工だけでなく、三井住友建設の建築士が設計・監理をしたとすると、監理者による施工への適正なチェック機能が働かなかった可能性があります」

 三井住友建設広報室は、アエラの取材に「建築士は当社の社員」としたうえで、こう認めた。

「杭打ち現場への立ち会いは、各棟の最初の作業のときだけ。問題の杭が打たれた工期の後半は立ち会っていない」

AERA 2015年11月2日号より抜粋