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「地方は姥捨て山か」の声 東京圏から移住促す提言 その真意は

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AERA#介護を考える
国際医療福祉大学大学院教授高橋泰たかはし・たい/1959年生まれ。東京大学大学院医学博士課程修了。ハーバード大学留学などを経て、国際医療福祉大学大学院教授(撮影/編集部・石臥薫子)

国際医療福祉大学大学院
教授
高橋泰

たかはし・たい/1959年生まれ。東京大学大学院医学博士課程修了。ハーバード大学留学などを経て、国際医療福祉大学大学院教授(撮影/編集部・石臥薫子)

 高齢化する東京圏からの移住を促した日本創成会議分科会の提言。「地方は姥捨て山か」との批判も出たが、真意はどこにあるのか。データをまとめた国際医療福祉大学大学院の高橋泰教授に聞いた。

* * *
 我々がこの提言で一番訴えたかったのは、2025年に向けて東京圏(1都3県)の高齢化は尋常ではないスピードで進み、みなさんが考える以上に危機的な状況になる、ということです。

 このままでは、大量の介護難民、そして下流老人が発生しかねない。それを避ける戦略として、四つの提言をしましたが、4番目の「地方への移住促進」が目新しかったために、そればかりに注目が集まってしまいました。

 では、そもそもなぜ「若い」と思われてきた大都市で、今後、高齢化が深刻になるのでしょうか。最大の要因は、昭和30年から45年にかけて、地方から大都市に800万人の就職や進学目的の大規模移動が起きたことです。昭和30年に地方から「金の卵」として大都市に出てきた移動第1期生である昭和15年生まれの人が今年75歳になります。さらにこれから、大移動してきた団塊の世代が高齢化します。つまり、団塊世代の人口増+移動増のダブルパンチが始まるのです。

 2025年までの10年間に、日本全体で後期高齢者の増加数は533万人と見込まれますが、その3分の1を東京圏の高齢者が占める計算です。問題は、その状況に、医療や介護の体制が全く追いついていないことです。以前から、都区部の高齢者は神奈川・埼玉・千葉の施設を利用することで、なんとか不足分をしのいできましたが、25年にはそれらの地域でも収容余力はなくなります。このままでは、東京圏で介護施設の奪い合いが始まる可能性が高いのです。

 では、介護体制を拡充できるか、と言えば、土地の少なさやコスト高、人材不足で、大幅な改善はとても期待できません。高齢化は過疎地の問題と思われがちですが、今後は大都市こそ、深刻になるのです。

 ですから、ロボットなどを活用した介護サービスの効率化や、地域での医療介護体制の整備を進めると同時に、希望する人の地方移住を促進した方がいいと申し上げているのです。もちろん強制ではありません。

AERA 2015年9月14日号より抜粋


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