2カ月後、「等身大のロールモデルの情報を発信し、シェアできるようにしよう」と、「パワーママプロジェクト」のサイトをオープンした。掲示するロールモデルに「2児のママ」「管理職」「時短」などのタグをつけ、サイトを訪れる人が自身の境遇や悩みに近い人を見つけられる仕組みにした。

 IT系企業に勤める高村奈津子さん(33)も、同プロジェクトに救われた一人だ。20代で部長職に就いた高村さんは、30歳で第1子を出産。職場復帰する際、再び部長職にエントリーするか、別の働き方をするか。岐路に立たされた。

「管理職の出産は、社内で初めてのケースでした。私は部長職にエントリーしたかったのですが、母に反対され、上司からも無理するなよと言われ…。社内に前例もなく、自分では判断しきれず、結局、部長職へのエントリーを見送りました」(高村さん)

 復帰後の仕事は物足りなく、仕事をセーブした自分に歯がゆさを感じるようになった。仕事も子育ても思いっきりやりたい。そんな自分は間違っているのか。罪悪感と葛藤に苛まれていたころ、パワーママのコアメンバーたちに出会った。

「私はエネルギーがありすぎて、会社では異端。若い子から見たら、ちょっとウザいくらいの存在だと思う。でも出会ったパワーママのメンバーたちはもっとパワフルで。私が“普通”に感じられた(笑)。世間の型に自分を無理に押し込まなくていいんだ。自分らしくしていいんだと、心が一気に解放されました」(高村さん)

AERA 2015年6月1日号より抜粋