羽生結弦「追われるのはウエルカム」 若手の存在も刺激 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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羽生結弦「追われるのはウエルカム」 若手の存在も刺激

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ブライアン・オーサーと教え子たちの練習は、選手全員によるスケーティングで締めるのが恒例。オーサー(右)が先頭に立って華麗な滑りを見せる(撮影/ライター野口美恵)

ブライアン・オーサーと教え子たちの練習は、選手全員によるスケーティングで締めるのが恒例。オーサー(右)が先頭に立って華麗な滑りを見せる(撮影/ライター野口美恵)

チーム・ブライアン

ブライアン・オーサー著/樋口豊監修/野口美惠訳

978-4062191739

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 2月にソチ五輪で金メダルを獲った後、羽生結弦(はにゅうゆづる)はカナダで夏を過ごした。

 オフを楽しんだのではない。練習拠点としているトロントの「クリケットクラブ」で早速、新しいプログラムの滑り込みに入っていた。

 昨季までのショート「パリの散歩道」は、世界歴代最高点を何度も塗り替えた「勝負プログラム」だった。ブルースの調べに乗ってワイルドに滑り、10代の若い魅力あふれる内容。オーサーと羽生はあえて「新しい表現力をつけよう」と相談し、羽生自身がピアノ曲を提案した。

「去年までのショートはひとつの作品として完成されていた。でも僕は止まらずに進化したい。ピアノ曲は物語がない分、表現することや、気持ちを伝えきるのがすごく難しい。自分の表現の幅を広げるためにも、ピアノ曲がいい」

 振付師が選んできたのは、ゆったりとしたメロディーのバラード。無音になるパートでは、ふっと力を抜くような演技もある。この場面が「ただの静止」になるか「溜め」になるかは、羽生の演技力にかかっている。羽生は言う。

「テンポが取りづらいし、メリハリや奥行きをどうつけていくかが課題です。羽生結弦はこんな演技もできるんだ、というのを目指したい」

 五輪王者としての4年間は、むしろ精神面が気にかかる。羽生はオーサーに質問した。

「五輪と世界選手権の金を獲ったことで、これからは今までと違うプレッシャーを感じるかもしれない。ブライアン(オーサー)の場合はどうでしたか?」

 オーサーは、カナダ代表として1984年サラエボ五輪で銀、87年世界選手権で金、88年のカルガリー五輪で銀と、「国民的スター」として重圧を背負いながら現役時代を過ごした。

「やる気を取り戻すのに苦労する選手はいるけれど、結弦は大丈夫。新しいことに挑戦するのが大好きだから、進化し続けられる。ライバルだって次々に出てくる。私自身、サラエボ五輪の後、新しいことに挑戦していたら、カルガリー五輪までの4年間はあっという間だった」

 オーサーと話し合ううち、羽生は納得。こう話したという。

「何歳になっても、僕の『頑張ろう、成長しよう』という気持ちはずっと続く。若手が育ってくることも新たな刺激になる。追われるのはむしろウエルカム。自分がもっと進化するために、新しいことをやろう」

AERA 2014年11月10日号より抜粋


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