地元・松江市のテニススクールに通わせ、小学6年生の頃には全国小学生選手権など3冠を達成。清志さんは、どうすれば世界で活躍できるのかと、テニスの専門誌を読みあさり、テニス留学のセレクションを受けさせた。そうして錦織は中学2年生のとき、ソニー創業者の盛田昭夫氏の実弟で、日本テニス協会の盛田正明会長(当時)が私財を投じた「盛田ファンド」の支援選手に選ばれ、米フロリダの全寮制のIMGアカデミーに留学したのだった。

 錦織の取材を長年続けている朝日新聞の稲垣康介編集委員は言う。

「松江市1位や島根県1位になったとき、それに満足するのではなく、世界では何位ぐらいだろうということを親子で常に考えていたそうです。日本選手で世界で成功したお手本もいないなか、清志さんが2歩、3歩先を見ながら世界一への道をつくったことが大きいと思います」

AERA 2014年9月22日号より抜粋