サイボウズ社長 青野慶久さん(43)1971年生まれ。大阪大学卒業後、松下電工(当時)入社。97年にソフト開発会社のサイボウズを松山市で創業。2000年、東証マザーズに上場し、東京移転。事象「仕事バカ」だったが、育休や週休3日を実践。妻は時短勤務。子ども2人(撮影/今村拓馬)
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サイボウズ社長 青野慶久さん(43)
1971年生まれ。大阪大学卒業後、松下電工(当時)入社。97年にソフト開発会社のサイボウズを松山市で創業。2000年、東証マザーズに上場し、東京移転。事象「仕事バカ」だったが、育休や週休3日を実践。妻は時短勤務。子ども2人(撮影/今村拓馬)
NPO「ファザーリング・ジャパン」代表理事 安藤哲也さん(51)1962年生まれ。明治大学卒業後、9回転職。2006年、ファザーリング・ジャパンを設立。「イクメン」の先駆けとして知られ、講演などをこなす。子ども3人。NPO「タイガーマスク基金」の代表理事も務める(撮影/今村拓馬)
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NPO「ファザーリング・ジャパン」代表理事 安藤哲也さん(51)
1962年生まれ。明治大学卒業後、9回転職。2006年、ファザーリング・ジャパンを設立。「イクメン」の先駆けとして知られ、講演などをこなす。子ども3人。NPO「タイガーマスク基金」の代表理事も務める(撮影/今村拓馬)
武蔵大学社会学部助教 田中俊之さん(39)1975年生まれ。男性が男性だから抱える問題を研究する学問である「男性学」や、キャリア教育論が専門。著書に『男性学の新展開』、共著に『不妊と男性』などがある。7月に結婚したばかり(撮影/今村拓馬)
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武蔵大学社会学部助教 田中俊之さん(39)
1975年生まれ。男性が男性だから抱える問題を研究する学問である「男性学」や、キャリア教育論が専門。著書に『男性学の新展開』、共著に『不妊と男性』などがある。7月に結婚したばかり(撮影/今村拓馬)
世田谷区長 保坂展人さん(58)1955年生まれ。教育ジャーナリスト。96年から衆議院議員を3期務めた後、2011年4月に世田谷区長に初当選。待機児童対策や子育て支援に取り組むほか、ネットでも積極的に発信。子どもは1人(撮影/今村拓馬)
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世田谷区長 保坂展人さん(58)
1955年生まれ。教育ジャーナリスト。96年から衆議院議員を3期務めた後、2011年4月に世田谷区長に初当選。待機児童対策や子育て支援に取り組むほか、ネットでも積極的に発信。子どもは1人(撮影/今村拓馬)
専業主夫ブロガー 宮内崇敏さん(35)1979年生まれ。帰国子女で慶応大学卒。大手企業に就職後、体調を崩し、外資系企業に勤める妻と相談して専業主夫に。子ども2人。家事・育児を4コマ漫画にして、ハンドルネーム「ムーチョ」でブログ執筆中(撮影/今村拓馬)
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専業主夫ブロガー 宮内崇敏さん(35)
1979年生まれ。帰国子女で慶応大学卒。大手企業に就職後、体調を崩し、外資系企業に勤める妻と相談して専業主夫に。子ども2人。家事・育児を4コマ漫画にして、ハンドルネーム「ムーチョ」でブログ執筆中(撮影/今村拓馬)

 男性が家事や育児に参加する風潮ができつつあるが、実際に行うには会社の協力が不可欠。経営者の青野慶久さん、NPO代表の安藤哲也さん、政治家の保坂展人さんらが、企業の体制について話し合った。

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保坂(世田谷区長):保育政策に携わっていて気になるのが、なるべく長時間預かってほしいという要望です。ヨーロッパでは家族一緒に夕食をとるのが一般的で、親子の会話時間が長く、幸福度は高い。一方、日本は、子どもが病気になっても、親は仕事を抜けて迎えにすら行けない。企業は変わらなくていいんですか。

青野(サイボウズ社長):経営者の立場でいうと、資本主義社会で経営者が評価される軸は売上と利益です。いくら社員が幸せであろうと、数字がついてこないとダメ。逆に社員の幸福度が低くても増収増益であれば、経営者は市場で高く評価される。

保坂:それは過去の成長モデルに基づいた企業文化が根強く残っているからです。子どもの教育でも相変わらず偏差値や学歴志向のまま。「いい会社に入れば安泰よ、お父さんを見てごらん」と言うけれど、その足元は崩れている。子どもの数は減っているのに、競争は鈍化していかない。

安藤(ファザーリング・ジャパン代表理事):ファザーリング・ジャパンは今春、「イクボスプロジェクト」を始めました。短期的な数字を追いかけて長時間働くのではなく、長い目でみたエクセレントカンパニーを目指す管理職「イクボス」を育てるのです。男性が育児に関わって家庭が安定すれば、従業員の満足度や健康度が高まり、仕事の意欲が増すというロジック。

 そうはいっても、この四半期の数字どうするんだ、という人も多く、イクボス増殖には時間がかかります。男性は家事や育児をやることのメリットを伝えないと動かないというのが、8年間の活動の中から編み出したアプローチの仕方です。女性からすると「なぜ男性だけほめたり、メリットを与えたりするのか」となるのだけれど。

青野:確かにメリットのないことをやる意味がわからない。妻に「花子とアン」の話をされても「それ聞いている間に1万円稼げるよ」と考えてしまう。

AERA 2014年9月1日号より抜粋