仕事へのやる気を大きく左右する職場環境。やる気や効率アップのために、ユニークな取り組みをしている企業がある。

 広島市に本拠を置くメガネチェーンの「21(トゥーワン)」は、「丸見え経営」で、社員との信頼関係を築いた。

 なにしろ、社内の情報公開が徹底している。専用のウェブを開けば、会社の財務状況から個人の評価、給料の額まで、すべてが分かる。

 その始まりは、1986年の創業時までさかのぼる。創業メンバーは、広島でのシェア60%を誇っていたメガネチェーンの出身者たち。社員参加型の自由な会社だったメガネチェーンだが、2代目社長になった途端、搾取型企業に変貌した。そこで、「社員のための会社をつくりたい」(平本清相談役)と袂(たもと)を分かち、「丸見え経営」を徹底した。

 社長は必ず4年ごとに交代する。価格競争力を維持するために、給与は月額30万円余に抑えているが、利益が出ればボーナスとして社員に還元する。過去には、1回のボーナスが500万円を超えたこともある。内部留保がない分、資金が必要なときは、金融機関よりも高い金利で社員から借りる。現在は、4%。「ギブアップ宣言」という制度もある。ネット上の「懇談室」で、「○○さんにギブアップ宣言」と一緒に組みたくない相手を表明したり、転勤を拒否したりできる。平本さんは言う。

「働きがいは、一人の人の中でも変化していくもの。個々の社員の価値観を尊重し心変わりの自由を認めることも、いい会社づくりにつながると思います」
 
 09~11年に入社した25人のうち、3年以内に辞めた社員は、1人だという。

AERA 2014年7月7日号より抜粋