イオンの販売ブース。音声通話などの基本料1560円に端末代金1420円を足した額(いずれも税抜き)で利用できる(写真:イオン提供)
イオンの販売ブース。音声通話などの基本料1560円に端末代金1420円を足した額(いずれも税抜き)で利用できる(写真:イオン提供)

 大手3社の寡占状態にあった国内のスマホ業界に、激震が走った。流通最大手イオンが、半額以下の価格で参戦したのだ。

 イオンは4日、およそ170店舗で「イオンのスマートフォン」の販売を始めた。料金は月額2980円(税抜き)。大手携帯電話会社の半額以下となる激安価格だ。通話料は30秒につき20円(同)。

 国内でスマホを購入する場合、NTTドコモなどの通信事業者(キャリア)が販売する端末と回線をセットで契約するのが、ふつうだ。ところが、イオンスマホは、「MVNO」(仮想移動体通信事業者)のサービスを使っている。MVNOは、自前で基地局などを持たず、NTTドコモなどの回線を借りて格安で通信サービスを提供する通信事業者で、日本通信やOCN、ビッグローブなどが手がけている。イオンは今回、日本通信とタッグを組んだ。

 MVNO各社は、これまでも格安のサービスを展開していたが、イオンが「シンプルさを重視」(橋本さん)して売り出したことで、がぜん注目された。

 MVNO各社が販売するのは、スマホ本体ではなく「SIM(シム)カード」と呼ばれる電話番号情報などが記録された小型のICカードだ。使うには、これに対応するSIMフリー端末が必要だが、国内ではなじみが薄く、高かった。だが、イオンは今回、グーグルのSIMフリー端末「nexus(ネクサス)4」を8千台調達。音声通話も可能なSIMカードとセットで販売し、わずか10日間ほどで4千台以上を売り上げた。

「格安のSIMカードは、これまでもイオン各店で販売してきましたが、年配のお客様から『これが使えるスマホ本体はここで買えないの?』と言われていたんです」(橋本さん)

 このシニア層の生の声が、端末とカードのセット販売を実現させた。年金で暮らす世代にも手頃な価格になり、大半がシニア層に売れているという。

AERA 2014年4月28日号より抜粋