北朝鮮国民にいまだカリスマ性を持つ祖父の故金日成(キムイルソン)主席をまねているのは歴然だが、在日関係者はこうも言う。

「あれは朝鮮半島では昔から支配階級の両班(ヤンバン)が目下の人間に見せていたしぐさだ。普通なら年長者にあんな態度は取れない。『金正恩は特別だ。若くても、誰も逆らえない王様である』と国民に見せつけている」

 だが、それとは対照的に、「叔父殺し」から5日後の昨年12月17日に開かれた「金正日追悼大会」での正恩氏は意気消沈したように目も虚ろ、まるで「叔父を殺す決定を後悔し、ベソをかいているようにも見えた」(元労働党幹部)。北朝鮮では異例のライブ放送で、「加工」なしで映し出された彼は「不安げな子供」のようだった。

AERA 2014年2月17日号より抜粋