女子にだって、職場で言えないことはある。「いつも喫煙所に行っていて姿が見えないけど、ここは会社です。仕事をするところです」「親の介護に直面したら、制度の必要性がきっとわかりますよ」(撮影/写真部・大嶋千尋)
女子にだって、職場で言えないことはある。「いつも喫煙所に行っていて姿が見えないけど、ここは会社です。仕事をするところです」「親の介護に直面したら、制度の必要性がきっとわかりますよ」(撮影/写真部・大嶋千尋)

〈何でも会社のせいにする甘ったれた女子社員たちへ〉そう広告が打たれた週刊現代の記事に対して、働く女性からは反論が上がっている。

 作家の曽野綾子さんが週刊現代8月31日号に寄稿した「私の違和感」は、働く女性に厳しい内容だった。

〈女性は赤ちゃんが生まれたら、いったん退職してもらう。そして、何年か子育てをし、子どもが大きくなったら、また再就職できる道を確保すればいいんです。(中略)会社に迷惑をかけてまで、なぜ女性は会社を辞めたがらないのでしょうか〉

 曽野さんは1931年生まれで、安倍政権の教育再生実行会議のメンバー。貧乏暮らしが当たり前だったという時代を引き合いに、女性が家計を支えるために働くことや、保育園の待機児童解消を求めることを否定している。

〈彼女たちは会社に産休制度を要求なさる。しかし、あれは会社にしてみれば、本当に迷惑千万な制度だと思いますよ〉

〈いまの産休制度は見直しが必要だと思います。女性には働く権利がありますが、子どもができたら、会社を辞める。会社は抜けた穴を埋めるために、新しい人材を手当する。そして、辞めた女性は、子どもが大きくなったら同じ会社に復職するのが一番楽でしょう。しかしそれはなかなか難しいでしょうから、女性の再就職を支援できるような制度を作ればいいんです〉

 どんな職種を想定しているのかは書かれていないが、仮に新卒で10年勤続した人が退職したら、穴埋めできる人材はすぐに見つかるのか。情報通信会社に勤める女性(40)は首をかしげる。

「安倍首相が提唱した『育休3年』でさえ現実的ではないのに、いったん仕事を失って数年後に再就職することがどれほど大変なことかわかっていない」

 外資系金融会社で働く女性(39)は、長女(1)が7カ月の時に職場復帰した。育休中は代替要員が入らないため、チームに迷惑をかけないように部下を育てて権限を委譲しておいたら、戻った時に仕事が減っていた。

「働く時間の制約があることは、仕事の質とは別。事情があって一時的にペースダウンしている人もいるし、モチベーションにも個人差がある。まとめて『甘ったれ』と言わないでほしい」

AERA 2013年9月2日号