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東大教授がまさかの言い訳「催眠術にかかったよう」

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立川断層とは、埼玉県飯能市から東京都府中市に至る長さ33キロの断層帯。ずれ動くとマグニチュード7.4程度の地震を起こす。東京都は最悪の場合で約2600人の死者を予測している。写真は2月6日の報道発表時の様子 (c)朝日新聞社 

立川断層とは、埼玉県飯能市から東京都府中市に至る長さ33キロの断層帯。ずれ動くとマグニチュード7.4程度の地震を起こす。東京都は最悪の場合で約2600人の死者を予測している。写真は2月6日の報道発表時の様子 (c)朝日新聞社 

 立川断層は、首都圏に震度7の直下型地震を引き起こす活断層とされる。3月28日、ここの調査をめぐり東京大学地震研究所が異例の記者会見を開いた。

「住民の方などに混乱を与えて申し訳ない」
「催眠術にかかったようだった」

 謝罪したのは佐藤比呂志・東大教授。佐藤教授らのグループは、東京都武蔵村山市で立川断層の掘削調査をし、「断層が動いた痕跡を見つけた」と2月6日に発表した。従来考えられていたのとは違う方向にずれていたので、被害予測の見直しに役立つ成果と喧伝された。ところが発表後にさらに掘り下げて調べたら、その「痕跡」は建物の基礎工事などで押し込まれた人工物とわかったというのだ。

 実は、佐藤教授は掘り始めたころは「確実」と見ていたが、掘削が進むにつれ「活断層かどうかわからん」と思い始めていたらしい。しかしすでに現場公開や報道発表の日程が決まっており、「強引に変更するのも難しくなってきていた」。

 引き返しにくくした要因の一つは、前例のない大規模な調査で注目が集まっていたこと。2012年度から3年間に約3億円かける文部科学省のプロジェクトで、問題となった掘削だけで2300万円を費やした。

 NHKが早い段階から密着取材を続けていたことも影響したかもしれない。ある活断層研究者は「NHKスペシャルで立川断層を目玉にしようと考えていた」とNHKの関係者に聞いたという。Nスペで大地震をテーマにした新シリーズ「MEGAQUAKE Ⅲ」が4月7日に始まっている。1回目は活断層がテーマ。被害を受ける人が多いと予測される立川断層なら番組の柱になりうる。

 佐藤教授によると、NHKは調査の準備会合が開かれた昨年7月から取材に来た。掘削現場にも、ほかのメディアに公開される約3カ月前の昨年11月ごろから入っている。

 むろん佐藤教授自身の責任が大きい。とはいえ、立川断層は1970年代に航空写真などによる調査でその存在がわかってから、何度も掘削調査がされてきた。しかし断層のずれが地下にとどまり地表に到達していないことなどから、痕跡がうまくつかめてこなかった。その意味で今回の失敗も稀有とは言えない。松田時彦・東大名誉教授は「立川断層がいつ、どんな地震を起こしてきたか詳しく知るためには、今後も場所を変えて掘削するしかない」と話す。

AERA 2013年4月15日号


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