「ながら歩き」はやめよう。「自分は注意しているから大丈夫」なんて思っていても、スマホの画面に熱中して歩いていると、事故につながる可能性は十分あることをお忘れなく(撮影/写真部・東川哲也)
「ながら歩き」はやめよう。「自分は注意しているから大丈夫」なんて思っていても、スマホの画面に熱中して歩いていると、事故につながる可能性は十分あることをお忘れなく(撮影/写真部・東川哲也)

 スマホを手に、他人の迷惑など考えず、まるで取り憑かれたように街を闊歩する。それがいかに危険か知っているのか。駆逐する手立てはあるのか。

 街を歩けば電車内や駅のホームはもちろん、信号待ちの間や歩きながらも食い入るようにスマホの画面を見つめている人がいる。思えば、従来型のガラケーでも「ながら歩き」が問題になった。が、タッチパネルを使うスマホはガラケーより画面を注視する時間が長くなる傾向があり、さらにタチが悪い。

 首都圏を中心とした鉄道事業者の集計によれば、2011年度に関東地方で駅のホームから転落したのは3243人。うち18人は携帯電話を使っていた。巻き込まれて命を落とすことも考えれば、立派な「歩く凶器」だ。

 スマホやガラケーのメール使用者の実態分析をしている筑波大学の徳田克己教授(バリアフリー論)によれば、もっとも危険なのは混雑した「駅のホーム」と「階段」だという。

 徳田教授らがスマホが普及する前の07年に行った、障害者、高齢者、幼児の親を対象にした1200人規模の調査では、70歳以上の高齢者の47%が「実際にぶつかった」あるいは「もう少しでぶつかるところだった」と回答。また、幼児を連れた母親の42%が携帯メール使用者と「実際にぶつかったことがある」と答えたという。

 このままでは、街もオチオチ歩けなくなってしまいそうだ。彼らにつける特効薬はないのだろうか。

 そんな中、「条例で規制を!」と呼び掛けたのはコラムニストの小田嶋隆さんだ。小田嶋さんは以前、ある雑誌で「歩きスマホ規制条例」を提案した。

「歩きたばこ規制」を参考に、スマホにも銀座や秋葉原の歩行者天国、渋谷のセンター街といった象徴的な場所を「規制地域」に定め、違反者を取り締まってはどうかというのだ。そして、こう提案する。

〈10歩以上画面を注視して歩いたら科料2000円〉
〈歩きスマホで人にぶつかったら3000円とか、イヤホンをしてゲームに夢中になっている“悪質”なケースは5000円など〉

AERA 2013年4月15日号