日本もいよいよ電子書籍戦国時代に突入した。しかし、そのメリットやどんな場面で役立つかなど、具体的にイメージできない人も多いのでは。電子書籍を使用しているという専門家に話を聞いた。

 まずは慶應大学大学院特別招聘教授の夏野剛(たけし)さん。miniやソニーのリーダーなど、「ほとんどの端末を使って試した」という電子な読書家でもある。

「電子書籍で読むことが多いのはコミック。1冊30分程度で読み終えるので、出先に何冊も持っていくにはかさばる。でもタブレットなら輝度も高くて読みやすいうえ、大人買いしても気軽に全巻持ち歩けるのがいい」

 オススメは、『宇宙兄弟』『ブラックジャックによろしく』『ジパング』など。恋愛小説も電子書籍で。

「コミック全巻や林真理子さんの恋愛小説など、本棚に並べておくと大人の男としてちょっと決まりの悪いような本は、電子書籍で。もうひとつは『もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら)』やホリエモンの『成金』など、将来読み返さないかもしれない本も、まず電子書籍で読んでみます」

 iモードの生みの親である夏野さんは、こうも語る。

「絶版になった専門書など、ロングテールほど電子化してほしい。そういうタイトルが増え、値段も安くなれば、電子書籍はマスマーケットになると思います」

 ビジネス書評家の土井英司さんは、講演の直前などに、タブレットやスマホに入れた電子書籍を見て内容を最終チェックすることが多い。

「ビジネスマンなら、松下幸之助の『道をひらく』でその名言をチェックしたり、『財務3表一体理解法』など、一度では覚えられない内容を繰り返し見て覚えたりするといいのでは」

AERA 2012年12月17日号