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増税で贈与に注目 メリット多いのは相続時精算課税

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 増税を目の前に控え、生前贈与が増えている。申告した人の数は、2008年の34万7千人から11年には42万7千人に増えた。相続税制改正を見込んだものと見られる。近い将来の改正では、相続税の基礎控除の縮小や税率のアップが予定されている。

 相続財産は一定額まで無税となる。これが基礎控除だ。その額は、現在の「5千万円+1千万円×法定相続人の数」から、改正後は「3千万円+600万円×法定相続人の数」と大幅に縮小される見込みだ。相続人が1人の場合、現在は6千万円まで無税だが、改正後は3600万円を超えると課税される。13年の税制改正に盛り込まれれば、15年に施行される。

 すでに、実家の敷地の評価額を最大8割減額できる「小規模宅地等の特例」は厳格化されている。以前は相続人が別居していても5割の減額が受けられたが、10年4月から、持ち家がある相続人は対象外になった。

 一方、贈与税は一部、緩和されそうだ。改正案では、「20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合」という条件が新設され、子や孫への1千万円前後の贈与は、税率が現行より最大10ポイント引き下げられる。これも、早くて15年の施行予定だ。

 贈与税には、大きく分けて一般贈与の「暦年課税」と「相続時精算課税」がある。

 暦年課税とは、年間110万円までの贈与が非課税となり、それを超えた金額に応じて課税されるというもの。

 相続時精算課税は、相続時に相続財産と合わせて精算することを条件にした「相続財産の前渡し」で、1人2500万円まで非課税になる。

 二つの制度は贈与する人、される人の条件にも違いがある。

 暦年課税は年齢制限がなく、誰にでも贈与できる。しかし、贈与する人の死亡からさかのぼって3年間の贈与は相続税の対象となる。相続財産を減らそうと、死期が迫ってからあわてて子に贈与してもだめだ。ただし、相続人でない孫、子の嫁や婿への贈与ならOKだ。これを節税策として推奨する向きもあるが、「争族」の火種にもなりかねない。

 一方、相続時精算課税は、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与に限られる。今後の改正では、60歳以上の親・祖父母から20歳以上の子・孫への贈与まで対象が拡大する。使い勝手もよくなるだろう。

 相続時精算課税のメリットはまだある。贈与した財産が、贈与時点の評価額で課税されることだ。優良な土地など、値上がりが期待される資産に向く。この制度を利用すると暦年課税は使えなくなるので注意しよう。

AERA 2012年11月12日号


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