四季の変化に富む国、日本。そのなかで暮らす私たちの生活には、古来より四季の移ろいにともなう多彩で繊細な行事や習慣が存在しています。



 最も身近なところでは、日々の生活を支える、衣食住をはじめとした「家しごと」での習慣。生活経済評論家でエッセイストの沖幸子さんによる、本書『四季折々家しごと』では、この「家しごと」に注目し、季節の移ろいに寄り添った生活を送るための、数々の知恵や工夫が紹介されていきます。



 具体的に少し見てみましょう。



 すでに連日蒸し暑い日々が続いていますが、立春から135日の6月11日ごろは、暦の上での「梅雨入り」。同時に梅雨は雨の日が多くなるため、湿度も高まり、カビに悩まされる時期でもあります。



 そのカビの発生3大条件は、室内の温度が20度以上、湿度が60%以上、ホコリや汚れの栄養分。このため沖さんは、梅雨時分のカビ対策として、次のような点に気をつけているといいます。



① 朝起きたら、必ず窓を開け、夜たまった湿気を外に出す。

② トイレの蓋は必ず閉める。

③ バスタブに水を張ったままにしない。バスルームの換気扇は、使った後もしばらく回し、湿気をためない。

④ 洗濯物は、よく水気を絞り、換気扇の下か、バスルームや洗面所で換気をしながら干す。

⑤ 雨でぬれた傘や靴は玄関に持ち込まない。傘立は必ずベランダや玄関の外に。

⑥ 煮物料理など、調理前後は長時間換気扇を回す。

⑦ 外出時には換気扇を回し、部屋中のドアを解放し、空気が風のように流れるようにする。



 憂鬱な梅雨を快適に過ごすための、ちょっとした習慣。



 あるいはまた逆に、この梅雨を利用し、沖さんは「網戸そうじ」をするのだそうです。風の穏やかな雨の日に、網戸を外して塀やベランダの手すりに立てかけておくと、雨が汚れをきれいに落としてくれるのだといいます。



 さらにカビと同時に、暑くなるにつれ発生し、私たちを悩ます存在----蚊。そこで注目したいのが「よもぎ」。生のままのよもぎをフライパンで乾煎りする匂いが部屋に漂えば、蚊は逃げていくのだそうです。また、よもぎを天日でカラカラに干し、木綿のハンカチに包んでタンスの引き出しに入れておくと、防虫効果・除湿効果も期待できるとのこと。



 自然に寄り添い、その恩恵を目一杯受けながら過ごす、季節感あふれる暮らし。本書にて紹介される数々の知恵や工夫、さっそく実践してみてはいかがでしょうか。