人の心を動かしてやまない世界各地の絶景。"絶景"をテーマに掲げた写真集やテレビ番組も多く、「死ぬまでに行きたい!世界の絶景」という名のFacebookページが57万人以上の「いいね!」を獲得するほど。日々の慌ただしさのなかで、思わず息をのんでしまうような、美しい風景を欲する気運が高まっているのかもしれません。



パンダやダイコンのコスプレ姿で、サハラ砂漠、ゴビ砂漠、北極、南極と、世界中の絶景に次々と足を運ぶのは、ベンチャー企業投資家の小野裕史氏。その目的は観光ではなく、絶景の土地で行われる過酷なマラソンを走ることにあります。



書籍『マラソン中毒者(ジャンキー) 北極、南極、砂漠マラソン世界一のビジネスマン』では、小野氏が更なるハードなマラソン体験を求めて、様々なレースにチャレンジして行く様子が描かれています。



顔中氷まみれになり、目もうまく開けられないままひた走る北極マラソン。ホワイトアウトや凍傷の危険と隣合わせのなか、100kmのデッドレースを繰り広げる南極マラソン。そして、灼熱の砂漠を7日間で250km、10kgもの荷物を背負って走るアタカマ砂漠マラソンでは、個人戦より難易度の高いといわれるチーム戦で、世界1位に輝く...。



実は小野氏、マラソンを始める前の35年間運動はゼロの超インドア派で、今より20kgほど太っていたそう。ランニングを始めたきっかけは、ゲームで遊ぼうと買ってみたニンテンドーWii Fitでした。今では「走る投資家」とも呼ばれるようになった彼が、他の人であれば参加するのに躊躇するような、過酷なマラソンに挑むことが出来た秘訣とは?



それは、自分には到底無理だと思えるようなレースでも、自分の心が動いたら、即座にインターネットでレースエントリーをするように心がけたから。その行為を「ノータイムポチリ」と称して、次のように語ります。



「未来が大きく動き出すのは、得てして『ノータイムポチリ』の仕業が大きい」

 

「小さなキッカケでも、『ココロの羅針盤』の針が動いたら、まずは動いてみる。『できるかどうか』ではなく『まずは、やってみる』」



どんな偉業にも欠かせないのは、初めの一歩と小さな行動の積み重ね。壮絶なマラソンを乗り越えてきた、著者ならではのメッセージ「未来はいつだって変えられる、チャレンジせよ」が心に残る1冊です。