※写真はイメージです (GettyImages)
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 いつもよりゆっくり過ごす時間が多い年末年始は、将来について話し合う絶好の機会だ。知らないと損する定年前後のお金の手続きのこと、生活や働き方のこと、夫婦でじっくり考えてみませんか。定年を迎えた人、迎える人はもちろん、40、50代もこの機会にぜひ。

【図で確認】夫婦で考える!定年前後にやることリストはこちら

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 長年勤めた会社を定年退職するとき、「退職一時金」に期待する人も多いだろう。

 自分たちへのご褒美として夫婦で海外旅行に出かけたり、高額な買い物をしたりするのはいいが、それ以前に、「『退職金の受け取り方』を間違えると、老後の資産形成に影響を与えます」と、注意を促すのは、税理士でファイナンシャルプランナーの西原憲一さん。

「退職金は一時金、分割、一時金と分割の併用と、受け取り方は会社によっていくつかの選択肢が設けられていますが、60歳の定年退職時に一括で受け取るケースがほとんどです。また、退職金には『退職一時金』と三つの『企業年金』があり、ご自身が今までどの企業年金に加入していたのか、受け取る金額と受け取れる期間を知らないと、税金の負担が多くなり、資産が目減りしてしまいます」(西原さん)

 企業年金制度には「確定給付企業年金」「企業型確定拠出年金」「厚生年金基金」の三つがある。

 まず、定年前にやることは、企業年金を含めた退職金をいつ、どれだけ受け取るのか。これを必ず確認しよう。

 もう一つ重要なことがある。退職前に会社の総務などから「退職所得の受給に関する申告書」を受け取り、必要事項を記入して、会社に提出する。この作業を怠るととんでもないことになる。

「『退職所得の受給に関する申告書』を会社に提出すると、退職一時金は退職所得控除の対象になり、控除の計算をした上で、金融機関の口座に振り込まれます。まれに、この書類を提出しない人がいます。そうすると退職一時金から一律20.42%の所得税等が引かれた後の金額で振り込まれてしまいますので必ず手続きをしましょう」(同)

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