チャールズ3世が70歳になったときに公開された家族写真(2018年9月、代表撮影/The Mega Agency/アフロ)
チャールズ3世が70歳になったときに公開された家族写真(2018年9月、代表撮影/The Mega Agency/アフロ)

 ハリー王子(38)がメーガン妃(41)と結婚する前にも、ランチの席を設けて王室の慣習やマナーを教えようとした。しかし、メーガン妃は全く興味を示さず、「わが道を行く」とばかりに夫人を無視した。

 夫人はメーガン妃の妊娠を知ると、「赤ちゃんが赤毛のアフロヘアだったら、さぞ面白いでしょう」と言い放ったとされる。メーガン妃が米テレビ司会者、オプラ・ウィンフリーさんのインタビューを受けた際に、「王室内で人種差別を受けた」と訴えるもとになったといわれる。

 ハリー王子が来年1月10日に発売する回顧録『スペア』では、ロイヤルファミリーすべてがターゲットになる。特にカミラ夫人は「母の敵討ち」とばかりに非難されるだろう。一方、兄のウィリアム皇太子は、妻と子どもたちとの幸せな生活のなかに少年時代の悲しみや苦しみを昇華させた。「カミラ王妃は子どもたちのおばあちゃんではない」と一線を引きつつも、「父親を幸せにしてくれる人」と冷静だ。

 わずか12歳で最愛の母を亡くしたハリー王子は、夫人を無罪放免にはできないでいる。もっとも、夫人は心配していない。夫は今や国王で、何らかの反撃に出るはずだ。それは王子の子どもたちに称号を授与しない、にはとどまらないだろう。

 来年5月6日にはチャールズ3世と共に戴冠する。光り輝く王冠を載せ、バッキンガム宮殿のバルコニーで国民の歓呼の声に応える。ハリー王子の恨み節など、もう届かないはずだ。(ジャーナリスト・多賀幹子)

週刊朝日  2022年11月25日号

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多賀幹子

多賀幹子

お茶の水女子大学文教育学部卒業。東京都生まれ。企業広報誌の編集長を経てジャーナリストに。女性、教育、王室などをテーマに取材。執筆活動のほか、テレビ出演、講演活動などを行う。著書に『英国女王が伝授する70歳からの品格』『親たちの暴走』など

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