大東貴志医師
大東貴志医師

 それより大きい場合は「体外衝撃波結石破砕術(ESWL)」や、「経尿道的尿路結石破砕術(TUL)」と言われる治療法が用いられる。

 ESWLは、体の外から衝撃波を当てて結石を割る。患部近くにあてがったウォーターバッグを通じ、結石に向けて衝撃波が放射される。ただし、「結石のある場所や体形によっては衝撃波が打ちにくかったり、伝わりにくいケースもある」(大東医師)。

 そこで最近は、より確実に結石を壊せるTULを用いるケースが増えている。尿道から細い内視鏡を差し込み、レーザーなどで結石を直接砕く治療法だ。

「モニターで結石を見ながら破砕したり、破片を取り除いたりできます。撮影画像の精度が上がり、内視鏡そのものも最新型は直径2ミリ程度まで細くなるなど、高性能化が進んでいます。全身麻酔が必要ですが、入院期間は2泊3日程度です」(同)

 尿路結石は5割程度が再発するとされる。再発を防ぐにも、予防するにも、結石ができにくい生活を心がける必要がある。大東医師は言う。

「まず水分を多く摂(と)ること。水分が少ないと尿が濃くなり、結石を作る成分が増えると言われています。1日2リットルを目標にしてください。次に、コーヒーや紅茶、緑茶といったシュウ酸が比較的多く含まれる飲み物は注意が必要です」

 結石自体は、9割方がカルシウム系の成分でできている。中でも、シュウ酸カルシウムが多いという。ホウレン草やタケノコ、チョコといったシュウ酸を多く含む食べ物も過剰に摂らないほうがよい。

 また、動物の内臓や、魚の卵、干物、だし汁など、プリン体の多い食品も摂りすぎないようにしよう。プリン体は尿酸値を上昇させる。過剰な塩分や糖分も、尿中のカルシウムを増加させる。患者数が増えた背景には食生活の欧米化や肥満もあるとされる。栄養バランスのよい食事や適度な運動が大切だ。

■コレステロール上がらぬように

“石”は、肝臓で作られる胆汁をためておく胆のうや、その通り道、胆道でできることもある。それが胆石症だ。結石ができる場所によって胆のう結石、胆管結石、肝内結石に分けられる。

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