※写真はイメージです (GettyImages)
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 ある日突然、激しい痛みに襲われる「尿路結石」や「胆石症」。症状がなくても、人間ドックや別の病気の検査で見つかるケースが増えている。体の中にできる結石が原因となる病気の治療法や予防法を、専門家に聞いた。

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「不安もありましたが、今ではやってもらって100%よかった」

 名古屋市在住の作家・小説家の志賀内泰弘さん(63)はこの夏、尿路結石の手術に踏み切った。結石があると初めて診断されたのは30代後半の頃。

「腰のあたりの猛烈な痛みで目が覚めるほどでした」

 以来、激しい痛みに襲われたり、結石が自然に排出されて痛みが和らいだりを繰り返しながら、だましだまし付き合ってきた。

「この間、血尿が出たり、結石で尿管が詰まり尿が出なくなったりすることもありましたが、タイミングや気持ちの面で合わず、手術はせずにきてしまいました。今回はたまたまいい医師との出会いもあり、覚悟が決まった。痛みから解放された生活は、やっぱり素晴らしい」

 尿路結石とは文字どおり、尿路に結石ができる病気だ。尿路は腎臓から尿管を通り、さらに膀胱(ぼうこう)、尿道へと続く尿の通り道を指す。国際医療福祉大学三田病院(東京都港区)の副院長で、泌尿器科部長の大東貴志医師は言う。

「結石は多くの場合、腎臓でできます。ただし腎臓の中にあるうちは無症状のことがほとんどです。ところが尿管や膀胱、尿道へと下ってくるときに痛みが生じます。背中から腰にかけての激しい痛みや、吐き気を伴うこともあります」

 結石ができても、尿と一緒に自然に排出されたりする場合もある。別の病気の診断で受けた超音波検査やCT検査で偶然、見つかることも。大東医師によると、患者数は年々増加しており、一生の間に尿路結石にかかる割合は男性が7人に1人、女性は15人に1人程度。男性の患者数は女性の約2.4倍という。

 結石のある場所や大きさなどに左右されるが、直径5ミリ以下など小さい場合は痛みを和らげたり、排石を促したりする投薬治療がなされる。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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