なぜジョージ3世をわざわざ登場させたのか。

 彼は在位が1760年10月から1820年1月までと、60年近く国王を務めた。男性の君主としては英王室史上最長で、81歳まで生きた。彼の治世には米独立戦争で敗北し、ナポレオン戦争でフランスとも戦った。

 外交面では苦難の道を歩んだ人物だが、それでも新国王は、ジョージ3世の肖像画の前に立つことを選んだ。女王としてはエリザベス2世の在位70年が最長だが、それに劣らないジョージ3世にあやかろうとしたのだろう。並々ならぬ決意と覚悟が伝わる。

 また新国王夫妻は、写真には夫妻だけではなく、皇太子夫妻が加わることを選んだ。新国王は、人気投票で皇太子を超えたことがない。ダイアナ妃の影がいつも付きまとい、彼女を苦しめた張本人と見なされることもあった。ただカミラ王妃との順調な再婚生活がすでに17年になり、女王が「カミラ夫人を王妃に」との言葉を残したこともあって、国民はカミラ王妃を受け入れつつある。

 それでも100%の自信は持てない国王としては、皇太子夫妻の人気に便乗するつもりかもしれない。今後、国王はバッキンガム宮殿での公務を中心とし、皇太子夫妻は外国訪問を担当するなど役割分担を進めるとされる。国王は内に皇太子は外に、と分ける計画だ。親子の二人三脚を効果的に機能させていきたい。

 4人の写真が公開されてわずか2日後。米国ではハリー王子(38)とメーガン妃(41)の写真が公開された。あまりのスピードに、驚きの声が上がっている。

 写真はメーガン妃が真ん中のポジションで堂々と正面に顔を向け、ハリー王子は顔も体も斜めにして彼女に寄り添い、人さし指をあいまいな笑顔を浮かべて握る。もう一枚は白黒で2人とも横向きだ。これもメーガン妃が主役である。

 2人の服装から、女王の死去直前に英マンチェスターで開かれたイベント「ワン・ヤング・ワールド・サミット」の時に撮影されたとわかる。基調講演したメーガン妃は「I=私は(が)」という単語を7分間の講演に54回も発したそうだ。

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