トウカイフェスタに乗る筆者
トウカイフェスタに乗る筆者

 トウカイテイオーといえば、1991年に無敗で皐月賞とダービーを制覇した伝説の馬だ。その後は故障に泣いたが、93年の引退レース・有馬記念で奇跡の優勝し、多くのファンが感動の涙を流した。近年はゲーム&アニメの「ウマ娘」の大ヒットで、当時を知らない世代からも注目を集めている。その名馬の産駒に跨れる乗馬クラブが群馬にあるという。しかも未経験者でも乗れるというのだ。競馬好き、ウマ娘好きには、耳寄りな話ではないか。

【写真】“第2の馬生”を乗馬として送る「リランとヤマニンバッスル」

 前橋市からほど近い赤城乗馬クラブを訪れた。

 このクラブにはトウカイテイオーの産駒が4頭もおり、会員以外のビジターでも乗れる。とはいえ、あの名馬の子だ。引退後も闘争心に溢れ、未経験者などは振り落とされるのでは?

「いえいえ。4頭とも人に従順で温厚。乗馬に適した性格です」

 と語るのは、このクラブの石井計人社長。

 ここにいる産駒は、ヤマニンバッスル、ゴールドショット、リラン(競走馬時代の名はダッキ)、トウカイフェスタ。いずれもJRAや地方競馬で走ったうえ、引退後の“第2の馬生”を乗馬として送っているのだ。

 乗馬クラブで会員やビジターが乗るだけでなく、馬術大会に出場することもある。9月10日に行われた群馬県馬事公苑乗馬大会には、トウカイフェスタとリランが出場。2種目に出たフェスタは1位と3位と活躍。大会初出場だったリランも2位に入賞した。

 記者が取材で訪れた日は、都内から来たという初心者2人が、ヤマニンバッスルとリランで外乗(森の中などを先導馬についてゆっくり進む)をしていた。

 帰ってきた2人に、トウカイテイオー産駒に乗った感想を聞いてみたところ、

「えっ、テイオーの子だったんですか? 知りませんでした。リランは草が大好きで、途中で立ち止まっては食べていました。牧場の方に『止めさせないと舐められてしまいますよ』と指導されたので、止めさせるようにしました。こちらの言うことをちゃんと聞いてくれましたし、とても素直な馬でした」

 実は赤城乗馬クラブは、トウカイテイオー産駒がいることをアピールしていない。ホームページでも触れていないのだ。ビジターの多くは、まさか自分が乗った馬がテイオーの子であるとも知らずに帰っていく。

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