永田町を揺るがし続ける旧統一教会問題。教会と自民党はいつ急接近したのか。容易に断ち切れそうもない、もつれた関係の解決策は。長年、教団の問題を取材してきた前参議院議員の有田芳生さんと、政治ジャーナリストの角谷浩一さんが語り合った。
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有田:旧統一教会と政治との関係を巡って、メディアの追及が続けられています。報道することは大切ですが、選挙で組織的な支援を受けるなど教団との関係が深い人と、世界日報(教団の友好団体が発行する日刊紙)のインタビューを受けただけの人も、十把一絡げにして批判しています。かえって、本当に追及されるべき人たちが霞んでしまっています。
角谷:イベントに参加したり祝電を送ったりした議員たちが、一様に統一教会との関係について「知らなかった」と言い訳するのはやめてもらいたい。秘書も含め、祝電を出していい団体なのかどうかきちんと精査できないのは政治家としての資質の問題です。政党はそんな人物を選挙で公認した責任をどう取るのか、その議論も必要です。
有田:教団と自民党とのつながりは、1968年に国際勝共連合が岸信介元首相の後押しで設立されたのを起源としています。そこから関係が広まっていったのは、角谷さんはいつごろだと思う?
角谷:80年代には自民党、ことに清和会(現・安倍派)では当たり前の関係になっていました。当時は中曽根康弘政権で、米国はレーガン政権、韓国は軍事独裁の全斗煥政権でしたから、「反共」でまとまる素地があった。議員会館の自民党議員の事務所には「贈呈」と赤いハンコが押された世界日報が届いていたものです。永田町の一画に立つビルに統一教会関連団体の事務所があって、議員たちが選挙応援の陳情に行く。すぐ近くに前線基地があるわけです。
有田:そうだったんですか。今回、自民党は所属国会議員379人のうち、半数近くの179人が統一教会と接点があったとの調査結果を発表しています。確かに氏名が公表されたのは清和会が37人で最も多いけど、他派閥も満遍なく関係を持っている。その後も山際大志郎・経済再生担当相が教団主催のイベントに出席していたことが新たに明らかになるなど、まだまだ広がりそうです。