トーク番組といえば、ホスト(ホステス)がゲストを迎え、話を聞き出すというのが基本形だ。普通時間帯にあるトーク番組は、なるほどいわゆるいっぱしの人たちがホストに座っている。「徹子の部屋」が象徴的であるが、ホストは当然番組の顔であり、番組のタイトルも含めて“その人”の番組ということになるケースが多い。

 でも、深夜のトークものはそうとは限らない。何か有象無象というか、ホストもゲストもどっちも知らない人が出てて何か喋っているという状況もアリなわけで、そうなると逆に「トーク」=「話す」なんていう根本的なところまで立ち返りたくなるような気さえする。喫茶店の隣のテーブルの客の会話に聞き耳をたてる楽しみを味わえということなのか。なにもそんなものテレビで──であるが。

 ホストとゲスト、どっちが構造的立場として上なのか、よくわからない。「迎えられるお客様」のゲストが上なのか、番組の顔「ホスト」が上なのか。ここでどうしても捨ておけないのが深夜トークの千年女王・佐伯伽耶だ。現在、「気らくに行こう」でホステスを務めているが、ホステス(ホスト)側が三人態勢なのだ。あとの二人は井上順と恵俊彰。ここにゲストとして東幹久が来たとする。この四人のタレントのランクは佐伯伽耶が四番目である。でも番組内ではいちばん女王様なのだ。不思議だ。空間として理不尽だ。「深夜」と「トーク」がこの理不尽を生み出しているのだろうか。

週刊朝日  2022年8月19・26日合併号