中高層ビルなど大型建築はコンクリートや鉄で建てられてきた。最近の大型建築には木造も出てきている。木造は環境や人に優しいというが今後の課題は?
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木材加工の技術や、強度や防耐火は向上している。丸太の加工で厚さ30ミリ程度の木板とし、同じ繊維方向に重ねた「集成材」や、直交に重ねた「CLT」がある。一方、丸太を厚さ3ミリ程度の木シートとし、同じ繊維方向に重ねた「LVL」もある。
CLTは鉄筋コンクリート造や鉄骨造に比べて軽く、断熱性にも優れる。大判パネルの製造が可能で、加工が容易なことから、大規模建築に活用されている。
■柱が燃えても安全性を確保
防耐火のため、木の素材を組み合わせる際に、モルタルなどの難燃層を表面や中側に入れることもある。森林総合研究所・研究ディレクターの渋沢龍也さんによると、木材を燃えにくくするだけでなく、燃えても安全性を確保する方法もある。たとえば、木の柱が燃えても強度を保てるところまで残っていればよく、外側は燃えても大丈夫という。
この防耐火への対応が日本は厳しく、木造の大型建築のコスト高につながっているという。「日本の建築基準法は世界で一番厳しい」と渋沢さんは話す。
「木造建築は防耐火で少し割高。海外は日本のような仕様でないので安くできる。日本では燃え尽きないようにしないといけない」(竹中工務店で木造・木質建築を統括する松崎裕之参与)
このほか、木造の大型建築が割高になるのは、木材の加工会社がまだ少なく、建築現場も扱いに不慣れなことがあるという。松崎さんは「大断面の集成材メーカーは国内に10社ぐらい」しかないという。日本各地にできていくと、競争で値段が下がり、輸送コストも下がっていくと、松崎さんは期待している。
現場にも課題がある。