写真提供/竹中工務店
写真提供/竹中工務店

「大手の建築会社だけでなく、中小の建設会社も取り組んでいかないといけないが、地域では住宅建築が中心で、大型建築の管理の仕方を知らない」とアルセッド建築研究所の大倉靖彦副所長は指摘する。さらに、木材は多種多様で、接合法もさまざまであるため、設計者が二の足を踏んでいると、大倉さんはみている。

 木材を生産する林業は、日本で衰退産業になっている。「林業は植えっぱなしではだめ」と渋沢さんは話し、植林のあとに育林が必要という。枝落としや間伐などで手がかかる。かつては安い外材の輸入で国産林が衰退し、「いまの日本の山林はあまり質が高くない」(渋沢さん)。

 住友林業は「W350計画」を掲げ、創業350周年の41年を目標に高さ350メートルの木造超高層建築物を実現したいという。渋沢さんは「理論的にはできる」と話す。

 ウッドチェンジが国産材の需要を高め、若い世代に林業を志す人が増えてくるのだろうか。日本の山林の復活にも期待がかかる。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2022年7月22日号より抜粋