「ちむどんどん」/ 2022年度前期のNHK連続テレビ小説。沖縄の言葉で「ちむ」は心で、「胸がドキドキ」の意味。沖縄で暮らす主人公・比嘉暢子(黒島結菜)が、料理人を目指して1972年5月15日の本土復帰の日に上京。その際に下宿するのが鶴見「沖縄タウン」。(撮影/小山風子)
「ちむどんどん」/ 2022年度前期のNHK連続テレビ小説。沖縄の言葉で「ちむ」は心で、「胸がドキドキ」の意味。沖縄で暮らす主人公・比嘉暢子(黒島結菜)が、料理人を目指して1972年5月15日の本土復帰の日に上京。その際に下宿するのが鶴見「沖縄タウン」。(撮影/小山風子)

 放送中のNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」のヒロイン暢子(のぶこ)が上京して住むのは、東京ではなく、隣の神奈川県横浜市鶴見の「沖縄タウン」。実際、沖縄から東京や神奈川へ働きに出てきた人の多くが昔から住み、現在も二世三世の皆さんが暮らしている。そんな鶴見・沖縄タウンを訪ねてみました。

【写真】町中に貼られている「ちむどんどん」のポスターがこちら

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 朝ドラ「ちむどんどん」が始まって早2カ月が過ぎた。やれ「ヒロイン暢子の勤務先のオーナーへの態度はひどすぎる」だの「お母さんはニーニーを甘やかしすぎ」だのといった賛否あるキャラクターが登場する中、視聴者が文句なしで感じるのは「沖縄料理って、おいしそう!」ではないだろうか。

周辺地図。鶴見駅、京急鶴見駅から循環バスで10分の仲通3丁目のバス停前で降りると、「おきなわ物産センター」の前。JR鶴見線・弁天橋駅からも徒歩15分。
周辺地図。鶴見駅、京急鶴見駅から循環バスで10分の仲通3丁目のバス停前で降りると、「おきなわ物産センター」の前。JR鶴見線・弁天橋駅からも徒歩15分。

 沖縄へ飛びたいところだが、あまりに遠いので、暢子が住んでいる(設定の)鶴見へ行ってみることにした。鶴見駅、京急鶴見駅から循環バスに乗って、10分ほどで、沖縄タウンの中心・仲通3丁目のバス停に到着(JR鶴見線・弁天橋駅からも徒歩15分)。

★沖縄食材ならなんでもある店

■おきなわ物産センター

沖縄の食材なら、生ものから缶詰まで、なんでも見つかる(撮影/小山風子)
沖縄の食材なら、生ものから缶詰まで、なんでも見つかる(撮影/小山風子)

 バス停の目の前にある「おきなわ物産センター」は、内地(沖縄の人は本州のことをこう呼ぶ)のスーパーではなかなか見られない、泡盛、黒砂糖、ランチョンミートの缶詰などの沖縄食材が、間口2メートル、奥行き20メートルほどの店内に、所せましと並べられている。

 驚きなのは、壁一面に設置されている冷蔵庫。豚が「耳」「足」「尻尾」など、部位に切り分けられて売られている。沖縄では牛や鶏よりも圧倒的に食べられているのが、豚。

 朝ドラの中でもニーニーこと暢子の兄・賢秀が小さい頃から飼育しかわいがっていた。けれど、東京から来た親子をもてなすために天国へ召されてしまう。沖縄では大事なお客様をもてなす際や、お祭り、冠婚葬祭などで耳から尻尾まで、全身を食べる。煮たり、焼いたり、各部位をそれぞれに合った調理法で、食べ尽くすことが、豚への供養にもなる、という考えがある。

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