「50代は体も動けて元気で、職場でも家庭でも大事な役割がある世代。できる限り働きたいと思われます。そんな方々を支援するために、支援コーディネーターが医療機関に相談したり、勤務先の企業に出向いたりして、可能な限りご本人の希望にそえるよう環境調整をします。もし退職になったとしても、適切な社会保障をお伝えして、安心感をもって第2のステップに進められるような支援をしています」

 駒井さんは、新オレンジプランができる前から家族会のボランティアや当事者と接し、「行き場のない」支援の難しさを感じていたという。

 高齢者ばかりの認知症対応型共同生活介護(グループホーム)に入所するのは抵抗があるだろうし、施設によっては若年性の受け入れが難しいところもある。できれば、住み慣れた地域で、施設に入らずに支援を受けながら暮らしていきたいと、多くの人が考えるのではないだろうか。

 同センターが運営する「いきいき*がくだい」(東京都目黒区)は、若年性認知症者と高次脳機能障害者専門の介護保険通所介護事業所(デイサービス)だ。

「みんなで横浜や銀座に行ったり、地域の清掃活動をしたりしています。(活動内容を)自分で決めますから『会社は辞めたけれど、ここには役割や居場所がある』と感じられます。こういった活動を通して新たな社会生活を取り戻せて、生きがいにつながると思います」(駒井さん)

 社会とのつながりだけでなく、言語や記憶に働きかける認知リハビリテーションもする。ピアサポート(同じ悩みを持つ仲間同士の支え合い)効果もあり、情報交換も期待できる。

 もし、医療機関で若年性認知症と診断されれば、年金加入者の場合、初診日から1年半後に障害年金の申請ができる。また、就労継続支援B型など障害福祉サービスの利用が可能となる。

「若年性認知症と診断される方の多くが経済的な問題を抱えます。ご家族の生活を行政が早く支援するためにも、早めの気づきや診断が望ましいと思います。年齢が40~65歳未満であれば介護保険制度の第2号被保険者になりえます」(厚生労働省認知症施策・地域介護推進課の担当者)。

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