出版記念会見で股関節トレーニングを実演するSAMさん(撮影・堀井正明)
出版記念会見で股関節トレーニングを実演するSAMさん(撮影・堀井正明)

 日本のトップダンサーとして活躍を続けるSAMさんが、自らの経験と実践、学びをまとめた著書『いつまでも動ける。』を出版した。なぜ、還暦を迎えて自分史上最強ともいえる体を維持できるのか。取材を続けてきた同年代のコラムニストが探った。

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 SAMさんに会ったのは、これが3回目だった。58歳、59歳のSAMさんと会って、今回は還暦のSAMさん。今までで一番、腕が太かった。

「TRFでデビューした31歳の時は59~60キロ、今は71キロ。一番重いんじゃないですかね」というSAMさん、身長は176センチ。重くなっているのはもちろん、脂肪ではなく筋肉。「60歳で最高の体をつくろうと、1年前から筋トレを強化しています」。そう言っていたのは、59歳を折り返したころのSAMさんだった。つまりこの2年は、ずっと筋トレに邁進しているわけだ。

 60歳になった今、日々のルーティンはといえば、「朝は6時前に起きて、犬の散歩を30~40分。7時過ぎにスタジオに入ってダンスを1時間、筋トレを1時間。筋トレは好きじゃないですが、頑張ってやってます」。有言実行の結果が、太い腕だった。

 SAMさんは2016年から「ダレデモダンス」という取り組みをしている。「BOY MEETS GIRL」「Overnight Sensation~時代はあなたに委ねてる~」などTRFのヒット曲のテンポを落とし、シニア世代でも踊れるようにした。いとこで日本循環器学会専門医の丸山泰幸医師(岩槻南病院理事長、病院長)の協力のもと、心臓手術後のリハビリ患者のデータを取りながら開発した。

 そして20年から学び始めたのが、南カリフォルニア大学のジェロントロジー講座。「老年学」「加齢学」などと訳されるが、もともとはギリシャ語の老人(geron)と学問(logy)を組み合わせた言葉。SAMさん的に表現するなら「人がポジティブに年をとるための学問」だ。山野学苑(理事長・山野愛子ジェーン)と南カリフォルニア大学の提携講座で、日本語付きの動画をオンラインで学んだ。全60講座、21年5月に修了した。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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