「股関節の力が弱くなると、転びやすくなる。逆に股関節周りの筋肉を鍛え、柔軟性を維持すれば、転倒防止だけでなく、腰痛やひざの痛みなどにも効果がある。多くのプロから学びました」

 本の中でSAMさんが紹介しているのが、三つのトレーニング。いずれもSAMさんが普段取り入れているトレーニングをベースに、運動に慣れていない人向けにアレンジしたもの。以下、文章で説明していく。

(1)は椅子を使って。浅めに座り、両腕は胸でクロス→股関節を意識し、前に体重を乗せながらグッと立ち上がる→お尻の方から座る。10回を2セットが目安。

(2)はその場で立ったところから。お尻を後ろにグッと突き出す→腰を前に入れるようにして、股関節から体を引き上げる。10回を2セットが目安(イラスト参照)。

(3)はダンス風。股関節から右足を上げ、左手で膝をタッチ→股関節から左足を上げ、右手で膝をタッチ→股関節から外側に向かって右ひざを回す→左右を変えて繰り返す。左右各10回を2セットが目安。

<股関節に効くトレーニングの例>お尻を後ろにグッと突き出す→腰を前に入れるようにして、股関節から体を引き上げる=10回を2セットが目安(イラスト・森優、『いつまでも動ける。』から)
<股関節に効くトレーニングの例>お尻を後ろにグッと突き出す→腰を前に入れるようにして、股関節から体を引き上げる=10回を2セットが目安(イラスト・森優、『いつまでも動ける。』から)

 SAMさんが三つをやってみせてくれた。(1)と(3)はできそうな気がした。が、(2)が……。SAMさんの動きが素早く、カッコいいダンスのようになっていて「素人には難しいかも」と感じた。「どうですか、わかっていただけましたか?」とSAMさんが聞いてくれたので、「二つ目が難しそう」と答えた。

 するとSAMさんから、優しさあふれる提案が。「ただ立った状態から屈伸するだけでも、足腰のトレーニングになります。少しジャンプして、足を開いたり閉じたりするのもいいです。こういった運動を繰り返すだけで、骨密度が上がると、いとこの丸山医師から聞きました」

 SAMさん自身、ちょっとした時間に体を動かすことを意識しているという。たとえば自宅マンションでエレベーターを待っているときの、かかと上げ。「なかなか来なければ50回くらいできて、ふくらはぎが鍛えられます」。レンジで何かを温めているときは、壁プッシュ。肩幅くらいの広さで壁に手をつき、腕立て伏せのようにする。胸の筋肉強化になる。

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70になっても踊ろうぜ!