(週刊朝日2022年5月6―13日号より)
(週刊朝日2022年5月6―13日号より)

 新電力への切り替えは、今のタイミングでは「慎重に進める必要がある」と中田さん。

「燃料費高騰などの影響で新規申し込みの受け付けを一時停止したり、事業から撤退したりするところが増えています。自社で発電設備を持つ都市ガス会社や石油元売り会社の系列か、母体事業が比較的安定している通信会社の系列会社を選ぶとよいでしょう」

 ガス代の値上がりも原料価格の上昇が理由だ。ガスにも、燃料の調達価格の増減を料金に反映するための「原料費調整制度」と呼ぶ、電力と似た仕組みがある。ただし、ガスの検針票には必ずしも、電力の「燃料費調整額」のように独立した項目では示されない。

 ガス代は主に基本料金と従量料金からなる。基本料金は、ガスの使用量に応じて段階的に一定の額で固定されている。従量料金は、使用量と、1立方メートルあたりの単価を示す「単位料金」とを掛け合わせて決まる。

 燃料価格の変動は、単位料金に反映される。3~5カ月前の実際の燃料調達費の平均が、基準となる燃料価格を上回るとプラス、下回るとマイナスの調整をする。

 東京ガスの場合、検針票と一体となった領収証に、「当月適用単位料金」や「翌月適用単位料金」といった形で書かれている。標準的な家庭では、5月分の単位料金は157.63円で、前の月から3.03円上がる。ガス代全体では5784円となり、同90円の値上がりだ。

検針票と一体になった領収証のサンプル(東京ガスの提供データを加工)
検針票と一体になった領収証のサンプル(東京ガスの提供データを加工)

◆比較サイト使い合ったプランを

 ガス業界も17年の規制緩和で新規参入が進んだ。電気やガスはセットで契約したり、すでに加入する携帯や通信会社の系列会社のプランを選んだりすれば、より割安になったり、お得なポイントやサービスを受けられることもある。エネチェンジのような比較サイトを使い、自分に合ったプランや会社を探そう。

 足元で値下がりする数少ない例が携帯電話料金。3月の消費者物価指数では、前年から50%以上も下がった。NTTドコモとau(KDDI)、ソフトバンクの大手3社は昨春、月20ギガバイト(GB)程度までの通信量が3千円以下で利用できる「オンライン専用プラン」を一斉に発表。選択肢が広がり、全体的に安くなった。

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