電力の検針票のイメージ(資源エネルギー庁の提供データを一部加工)
電力の検針票のイメージ(資源エネルギー庁の提供データを一部加工)

 ものの値段は上がる一方で、私たちの暮らしは苦しくなるばかり。そこで目を向けたいのが「請求書」だ。難解な用語も多く、普段はついつい見過ごしがちだが、実は情報の“宝庫”でもある。支出の見直しや節約のヒントが隠されていないか探った。

【契約見直しの際に参考になる主な家電のアンペア(A)数の目安はこちら】

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 総務省が4月22日に発表した3月の消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食品を除く総合指数が100.9で、前の年の同じ月に比べて0.8%上がった。上昇は7カ月連続だ。

 値上がりが目立つのは食品やエネルギーで電気代は21.6%、ガス代18.1%、ガソリン代19.4%といずれも2割近く上がった。

 ウクライナ情勢の緊迫化の影響などで、物価高はしばらく収まりそうにない。家計を守るには何にどれだけ払っているかを把握し、無駄な出費をいかに抑えるかが重要になる。支出を抑える基本はまず、毎月や毎年、一定額ずつ払う固定費の見直しだ。

 支出額が大きいものが多く、契約の内容を変えれば、費用はその後もずっと抑えられる。代表例が電気やガス代、水道料金、携帯電話やインターネットといった通信費、保険料など。

 その把握や見直しに役立つのが、契約先から届く請求書だ。自分がどんな内容の契約をし、サービスをどう利用しているかがわかるだけでなく、ほかのサービスと比べる判断材料にもなる。とはいえ、その内容には専門用語も多く、わかりにくい点もある。読むのがおっくうだったりして、見過ごしている大事な情報もあるかもしれない。

 まずは電気代から見てみよう。

(週刊朝日2022年5月6―13日号より)
(週刊朝日2022年5月6―13日号より)

 大手電力会社の5月分の電気料金は、過去5年間で最も高い水準だ。東京電力の場合、使用量が平均的な家庭の電気代は4月分に比べ146円増の8505円。1年前から実に約25%増、1683円も値上がりしている。コロナ禍で自宅の電気使用量が増えたのに加え、燃料の液化天然ガス(LNG)や石炭の輸入価格が上がったのが響いている。

 燃料価格が上がった影響は、検針票の「燃料費調整額」といった項目から読み取れる。電力会社は、燃料費調整制度と呼ぶ仕組みを通じ、燃料価格の増減を電気代に転嫁できる。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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