監督 ジャック・オディアール/22日から新宿ピカデリーほか全国公開/105分 (c)ShannaBesson (c)PAGE 114 - France 2 Cinema
監督 ジャック・オディアール/22日から新宿ピカデリーほか全国公開/105分 (c)ShannaBesson (c)PAGE 114 - France 2 Cinema

「君と歩く世界」「ディーパンの闘い」など常に話題作を発表してきたフランスのジャック・オディアール監督の新作「パリ13区」。傑作「燃ゆる女の肖像」で一躍世界のトップ監督の一人となったセリーヌ・シアマが脚本で参加している。

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 コールセンターで働く台湾系フランス人のエミリー(ルーシー・チャン)のもとに、ルームシェアを希望するアフリカ系フランス人の高校教師カミーユ(マキタ・サンバ)が訪れる。二人は即セックスするが、エミリーの気持ちとは裏腹にそれ以上の関係にはならない。

 同じ頃、法律を学ぶためソルボンヌ大学に復学した32歳のノラ(ノエミ・メルラン)は、若いクラスメートに溶け込めずにいた。ある日、金髪ウィッグをかぶり、パーティーに参加した夜をきっかけに、元ポルノスター本人と勘違いされ、学内中の冷やかしの対象となってしまう。大学を追われたノラは、教師を辞めて一時的に不動産会社に勤めるカミーユの同僚となるが……。

監督 ジャック・オディアール/22日から新宿ピカデリーほか全国公開/105分 (c)ShannaBesson (c)PAGE 114 - France 2 Cinema
監督 ジャック・オディアール/22日から新宿ピカデリーほか全国公開/105分 (c)ShannaBesson (c)PAGE 114 - France 2 Cinema

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
多人種、多文化の流入で人々の気持ちが多少複雑になったとはいえ、恋愛と自立が重要なのは昔からフランス映画が描く世界。モノクロームの映像が生む洗練された印象がパリの街や登場人物の行動を新鮮に見せている。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
自分の殻を破る人間を描いてきた70歳近い監督の関心と、若手女性監督が手がけた脚本が絶妙に噛み合ったドラマ。勝手な思い込みや押しつけられたレッテルに囚われた男女それぞれの目覚めが細やかに描き出されている。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
大人になっても迷いながら生きています。愛を探して、そして求めて。たまには失敗するさ。モノクロが利いています。たまにアクセントとしてのカラーも。自分色に染められる一本。エロティシズムはイヤらしくない。美しい!

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
現在を生きる若者たちの話だが、オディアールなので既存とは違う描き方で刺激的に仕上がっている。登場人物が悩みながらも生き生きとしているのが何よりも素晴らしくて、映像はモノクロながら気持ちがカラフルになる。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2022年4月29日号