一方で濱口さんは、東証再編が優待の新設や拡充の要因にもなり得ると指摘する。

「プライムなど新市場区分の基準には、株主数だけでなく、流通株式時価総額や平均売買代金といった別の基準もある。今の段階で基準を満たしておらず『経過措置』で新市場に移行した企業は、今後、基準をクリアするため優待などの株主還元策を充実させる可能性もあります。ただ現在はまだ優待制度の実施企業が増えるか減るか、どちらとも言えない状況です」

 同社の調べでは、3月10日時点の優待実施企業は1493社と、昨年9月末の1476社に比べ少し増えた。今はまさに転換点のようだ。

◆業績回復見込むホテル・鉄道株

 では、そんな中、どんな銘柄が狙い目か。専門家に挙げてもらった。

 株主優待に詳しい財産ネット企業調査部長の藤本誠之さんは、最近、導入が広がりつつある「ポイント制」の優待に注目しているという。

(週刊朝日2022年4月1日号より)
(週刊朝日2022年4月1日号より)

「ウィルズの『プレミアム優待倶楽部』は、その代表例。株主は、保有株数に応じて『株主優待ポイント』がもらえ、もらったポイントは優待品に交換できます。最大の特徴は、この仕組みを導入した企業に共通の株主優待コインと交換できること。コインは、ウィルズの会員制サイトに掲載された6千種類以上の優待品と交換できる。別の企業の優待で手に入れたポイントも、コインに交換することで合算できます」

 この仕組みを導入する企業は徐々に増えている。藤本さんは、その中から、成長性が高い銘柄を選ぶのも一つの手だという。例えば、東京計器やチノー、コンドーテックなどだ。藤本さんは言う。

「東京計器は、船や航空機の計器や通信機器の大手。海運や防衛需要などで業績は堅調です。チノーは、今後も用途の拡大が見込める温度センサーを手がける。産業資材や電設資材を扱うコンドーテックは、災害用のブルーシートや土のうの大手。景気とはあまり関係なく必要とされますから、業績を下支えしています」

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