(週刊朝日2022年4月1日号より)
(週刊朝日2022年4月1日号より)

 澤井さんが挙げた、回転ずしチェーン「スシロー」を展開するFOOD&LIFE COMPANIESや「ケンタッキーフライドチキン」を運営する日本KFC HD、焼き肉店やレストランチェーンを展開する安楽亭の優待は、店で使える食事券や割引券がいずれも年2回もらえる。ダスキンの優待券は提携先のモスバーガーでも使える。こうした優待の乗り入れやコラボも最近は目立つ。

「どの店も、職場や自宅近くにあり、通いやすい。とくに安楽亭の優待は、優待食事券と割引券を同時に使える点がポイント。まず20%の割引をしてもらったうえで、さらに500円券が使えるので、お得感が高い」

 最後に、優待銘柄を買う際の注意点を押さえておこう。まず知っておきたいのは、「権利確定日」や「権利付き最終日」だ。優待の実施企業は、特定の日に株主名簿をチェックし、優待の対象となる株主を決める。権利確定日は、この日のことを指す。優待を年1回行う会社は1年に1日、2回なら2日ある。銘柄により異なるが、決算時期に合わせ3月や9月の最終営業日である会社が多い。

◆権利落ち直前の高値づかみ注意

 気をつけたいのは、株を買ってから株主名簿に載るまでに2営業日のタイムラグがあること。そのため、権利確定日の2営業日前までに株を買う必要がある。この2営業日前の日のことを権利付き最終日と呼ぶ。

 3月末が権利確定日の銘柄の場合、今年の権利付き最終日は3月29日。買いたい銘柄があるなら、それまでに買っておこう。

 優待銘柄特有の値動きにも要注意だ。人気の銘柄は、権利付き最終日までに株価が値上がりしているケースが多い。そういう銘柄は、権利落ち日(権利付き最終日の翌営業日)になると株価は下がりがちだ。ギリギリのタイミングで焦って買って、高値をつかまされるようなら、もったいない。前出の坂本さんは言う。

「あらかじめ信用取引が可能な銘柄かチェックしておきましょう。権利落ち日後に株価が急落しても、空売り(信用売り)で対応できるからです」

 優待の条件も細かくチェックしよう。売買できる最小単位(「単元株」)で権利が得られることもあれば、単元株以上の保有が求められる銘柄もある。また、株を保有する期間で優待の内容に差がついたり、利用できる店舗や有効期限が限られていたりすることもあるので、よく確認しておこう。前出の濱口さんは言う。

「優待を配当と合わせたリターンの一つと捉えてもいいし、お中元などのように『ギフト』として捉えてもいい。自分なりに自由に楽しみましょう」

(本誌・池田正史)

週刊朝日  2022年4月1日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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