こうした改正を踏まえ、今後はどんな相続対策が有効になるのか。

「生前贈与の税制上のメリットは確実に減る。さらに、一度に大きな額を贈与するともらったほうが無駄遣いするかもしれず、『子どもや孫が本当に必要な資金を贈与する』ことがポイントになる」(同)

 例えば、教育結婚子育て、住宅取得資金としてまとまった金額を渡す場合、条件を満たせば、教育資金は1500万円、結婚・子育て資金は1千万円、住宅取得資金は今年の改正を受けて耐震・省エネまたはバリアフリーの住宅が1千万円、それ以外が500万円まで非課税で贈与できる。

 なお、特例は教育と結婚・子育てが2023年3月末、住宅取得資金は同年12月末が期限となっており、期限後には廃止や、継続でも内容改悪の可能性がある。

 また、子どもや孫に対して必要なつど、生活費や教育費を渡す分には贈与税はかからない。子ども一家がコロナ禍で生活が苦しいというなら、財産の先渡しとして毎月生活費を援助するのも一つの方法だ。

 ただし、子どもが親から受け取ったお金を緊急資金用に貯蓄したりすると、その貯蓄に対して課税される可能性があるので気を付けたい。(ライター・森田聡子)

週刊朝日  2022年3月4日号より抜粋