左から慶應義塾大三田キャンパス、早稲田大大隈記念講堂
左から慶應義塾大三田キャンパス、早稲田大大隈記念講堂

 併願した大学・学部に両方とも合格した受験生は、何を基準にどちらを選ぶのか──。近年は偏差値や難易度だけでなく、変革に前向きな姿勢が重視される傾向が強まっている。大手予備校・東進ハイスクールのデータを元に、代表的な私大の併願パターンを比較。選ばれる理由に迫った。

【学部別で見る】早慶W合格者はどっちを選ぶ?

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◆「早慶戦」で勢いづく早稲田 慶應は看板・法で依然強し

「私どもの調査によれば、早稲田と慶應義塾にダブル合格したとき、早稲田に進学する割合が同系統学部で今年初めて慶應を上回った。これは大きなニュースです」

 全国に98校舎を展開する東進ハイスクールの運営元であるナガセ(東京都武蔵野市)の市村秀二広報部長は言う。

 同社は主な国公立大学・私立大学にダブル合格した場合、受験生がどちらの大学を選ぶかを2018年から独自に調べてきた。早稲田と慶應で同系統の学部に合格した場合、早稲田への進学率が5割を超えたのは、18年は先進理工、19年は政治経済の各1学部のみ。それが20年は文と文化構想の2学部に増え、政治経済と慶應・経済、基幹理工と慶應・理工も五分五分に。そして21年は政治経済、商など5学部が慶應を上回った。

(週刊朝日2021年12月31日号より)
(週刊朝日2021年12月31日号より)

 注目は政治経済学部だ。20年までは大学独自試験のみを課す方式だったが、21年以降は大学入学共通テストと学部独自試験の合計点数で選抜する方式になり、募集人員を450人から300人に減らすなど、大きく変更。21年の志願者は5669人で、前年から28%減った。

「対策の負担は増えたが、それでも早稲田に行きたいと考える骨太の受験生が集まった。志願者は減っても、早稲田を第1志望とする優秀な学生が集まった成功ケースではないか」(市村さん)

 進学率の逆転を、早稲田側はどう認識しているのか。入学センターの城座俊輔課長は「『早慶併願者』とくくられがちだが、併願者の母集団を見れば、そもそもが早稲田にとって厳しい闘い」と切り出す。

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