(c) 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation
(c) 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation

──娯楽映画で第1次世界大戦に触れることについて、どう感じますか?

「英国で第1次世界大戦というのは、今でも歴史上の痛々しい、生々しい記憶として受け止められている。そんな課題に、アナーキックで遊び心のあるマシューがいかに取り組むかに興味をそそられた。歴史と娯楽性の微妙なバランスを取るのが彼は得意で、その映画への出演は、とても魅力的に思えたんだよ」

──驚かされたのは、あなたの演じる公爵が先祖の罪について語るところです。とても現代的な歴史解釈に思えたのですが。

「私は歴史がとても好きで興味がある。歴史をひもといて何度も驚いたのは、思った以上に過去の多くの人々が現代的な考え方をしていたという点だよ。特にヨーロッパの歴史というのは、全体的に保守的で権威的に映るのだが、探っていくと現代人と同様に、さまざまなことを模索し、急進的な思想を持った人々があちこちに存在したことを知る。だから私の演じた公爵があのような発言をするのも、驚きではないんだよ」

──植民地主義や奴隷制度にまでさかのぼる課題なわけですよね。

「公爵は、自分は上流階級にいるが、その背景には否定しがたい事実があると考えている。例えば自分が所有している土地は、300年前に農民を剣で脅したり殺したりして搾取したのかもしれない。同様に何百年後に振り返ったら、いまの自分は祖先として紳士ではあるが、そういった過去の存在は否定できない。僕はこのキャラクターの正直なところが好きだ。そもそもは先祖は盗人だったんだと認めている。だからこそ紳士となった今、自分は国に尽くす、他の人たちに尽くす責任を負っているのだと自覚している。富裕階級が医療や教育を支える責任があると。軍隊に入り国に尽くすべきであると……」

◆壮大な貴族の館 歴史の一部

──かなりのアクションシーンをこなしたようですが、準備のトレーニングは大変でしたか?

「撮影したときは56歳だったから、トレーニングは当然だがきつかった。でも自分の中にいる少年がとても幸せだったんだ。チャンバラをやったり岸壁を登ったり。自分の中にある子供心を満足させることができた。もう二度とこんな機会はないと思ったから。もう一度チャンバラができたら幸せだよ。完成した映画ではみなアクションも決まっている。というのも、素晴らしいスタントマンが僕らのアクションを代わってやってくれたわけだから(笑)。僕もハリスもいくつかスタントをこなしたけれど、完成した映画のシーンが素晴らしいのは、スタントチームと、驚くべきレベルに完成された編集のおかげだよ。本当に見ごたえありだ」

次のページ