帰国後の11月15日に開かれた会見での様子
帰国後の11月15日に開かれた会見での様子

 投手と打者の二刀流を実践し、米メジャーリーグでベーブ・ルースと比較されるほどの活躍を見せたエンゼルス・大谷翔平(27)。その生活をひもとくと、「1日12時間寝る」「つねっても起きない」など特異な「睡眠伝説」が浮かび上がってきた。超人的活躍を支える「寝る力」とは──?

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 今季は投手として9勝、打者として46本塁打と大暴れした大谷翔平。11月19日(日本時間)には、日本人としてはイチローに次ぐ年間最優秀選手(MVP)に選ばれた。

 日本帰国後の11月15日に開いた記者会見では、「落ち込むことも含めていい1年だったなと個人的には思っています」と、シーズンを振り返っていた大谷。ふだんの生活の中でひらめいたアイデアを試合で試すのが楽しみだったそうで、会見では次のように語った。

「寝ているときとか、『なんかいけそうだな』というのが出てきたりするのが一番、やっていて面白いなと。次の試合で試してみようとか、というのがやっていて一番面白い」

 この発言にも表れているが、大谷はこれまでも事あるごとに睡眠の重要性を口にしてきた。今年7月のアシックスジャパンによる動画インタビューでは、「小学生のころは毎日夜9時から朝7時まで寝ていた。昼寝もしますし、半日くらい寝ていたかもしれない」と証言。子ども時代だけでなく、右肘手術明けの2019年の春季キャンプ時には1日に昼4時間、夜7時間の計11時間の睡眠をとっているとスポーツ紙に報じられ、今秋も雑誌のインタビューで「一番大事に考えているのは、寝ることです。もともとシーズン中はいっぱい寝るようにしてきましたけど、今年はとくにいっぱい寝るようにしていますね」(「Number」9月24日号)と話した。子ども時代も今も、1日10時間を超える時間を睡眠に費やしていることがわかる。

 これは何を意味するのか。“睡眠負債”の言葉を生み出したベストセラー『スタンフォード式 最高の睡眠』の著者で、米スタンフォード大学医学部精神科の西野精治教授はこう語る。

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