※写真はイメージです (GettyImages)
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 そばにいるのが当たり前のパートナー亡き後の人生について考えたことがあるだろうか? 死別経験者の心情や受け止め方、今できることを考える。

【アンケート結果】配偶者とどちらが先に死にたい?

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 シニア生活文化研究所代表理事で、10年前に夫(当時42)を突然死で失った小谷みどりさん(52)は、自身の体験をきっかけに配偶者と死別後にどんな悩みを持ち、どう立ち直ったか、自分が没イチになった時にどうすればいいのかなどをまとめた『没イチ パートナーを亡くしてからの生き方』(新潮社)を出版。昨年12月からは「イブニング」(講談社)で、小谷さんが企画協力という形で、マンガ「没イチ」の連載が始まった。

◆いつ死んでも悔いはないか

「没イチ」(講談社)
「没イチ」(講談社)

 物語は、45歳の白鳥学が、39歳の妻・愛を突然死で失うところから始まる。学が愛の死を受け入れ、残された人生を歩もうとする過程を丁寧に描いている。作者のきらたかしさん(51)は、小谷さんの著書を読んだ時、ひとごととは思えなかったという。

「3年前からパートナーと暮らすようになり、自分にも起こりうる内容だと思いました。つらい出来事ですが、小谷さんの明るい性格もあって、没イチのことが前向きに書かれているのがいいと思いました。だからマンガでもコメディーとして描いたほうが、読んでもらいやすいのではないかと考えました」(きらさん)

 ストーリー展開を練っている時に、知人が若くして妻を亡くし、話を聞く機会があった。

「その時、この作品は実際に配偶者を亡くされた方が読むかもしれないので、いい加減な気持ちでは描けないと思いました。自分が経験していないことが経験した方にも通じるかを常に意識していて、毎回悩みながら描いています」(同)

 主人公の学は、全くできなかった料理や掃除に取り組み、出会う前の妻の過去を調べながら、妻のいない現実と向き合っていくようになる。

「生きているといつ何が起こるかわかりません。自分がある日突然死んでも悔いがない生き方をしているかはとても大事で、自分自身、そのことを意識するようになりました」(同)

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